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少年は勇者達の未来の為に。
鷲尾須美は勇者である 再臨の章
第八話
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ええ・・・それより蓮君」 

「なに?」

「・・・あなたに伝えたい事が―――」

意を決し、蓮に例の夢の事を伝えようとした瞬間。

「ハーイ!おまちど〜!」

「いやはや、今日はめっちゃ混んでてまいったよ・・・ってアレっ?どうしたんだ?蓮、須美?」

「あ〜、いや・・・」

「・・・丁度良いわ。二人にも、聞いてもらいましょう」

「・・・愛の告白ってわけじゃなさそうだね〜 

「・・・なんかあったのか?」 

真剣な須美の表情を見て、休日テンションを即座に切り替える園子と銀。
せっかくの休みなのに申し訳ないけれど・・・と須美も話を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

須美の話した内容に他三人も驚きを隠せなかった。
須美はすべてを話した。あの時見た光景を、泣き叫ぶ二人を、そして――――
遺体へと変わり果てた蓮の事も。

「いやぁ・・・それはどうにも、きつい夢だね・・・」


沈黙を破ったのは蓮からだった。さっきより動揺はしているものの、いつもの様子と大差ないように見える。
しかし、その目線は落ち着きが無かった。

「で、でもさ、それって只の夢ってこともあるよな?なっ?」

「そう簡単に否定するには、少しリアルすぎるね〜・・・・」

絞り出すように言葉を紡ぎだす銀と園子。
二人はかなり動揺していた。銀に至っては、半ばパニックにも陥ってるようだった。

確かに今までの戦いでも『死』というものは何度か実感してきた。だが、その度に連携や、作戦で勝利してきた。自分達なら、誰一人欠けずにお役目を出来る―――そう思っていた矢先の須美の悪夢だった。

「・・・ごめんなさい。こんな時に言う話じゃなかったのだけれど・・・」

「いや、言ってくれてありがとう須美ちゃん、お陰でもう一度気を引き締めれたよ」

そうやって蓮が須美に感謝するものの、その声は少し震えていた。
それもそうだろう。今、蓮は夢とはいえ、事実上の死刑宣告を受けたに等しい。
いくら他と比べて落ち着いている子と言っても、限度があった。

「な、なあ須美?なんか他に見なかったのか?例えばこんな敵がいたー!とかさ?」

「・・・ごめんなさい。他には、なにも・・・」

「これが安芸先生とかの夢だったら、笑い飛ばせたんだけどね〜・・・」

そう。この夢を、夢だと一蹴出来ない理由が、そこにあった。

これが一般人に過ぎない安芸やなどのモノであったなら、気にすることも無かった。精々『次のお役目は普段よりも気を付けよう』レベルだった。

しかし神樹様の力をお借りしている勇者の、しかも信頼できる友人が見たという夢。冗談ではないことは顔を見ればわかった。


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