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少年は勇者達の未来の為に。
鷲尾須美は勇者である 再臨の章
第八話
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銀が蕎麦派になりかけ、それをうどん派へと引き戻した日の夜。

 

 

 

 

 

―――――須美は夢を見た。

 

 

自身の血で赤く染まった勇者服を纏った銀。
そんな銀は自身の傷など気にもしない様子で、横たわるソレを、泣きながら抱き締めていた。

 

隣では、園子が泣いていた。園子も傷だらけだったが―――目の前の光景がショックなのだろう。気にもしていなかった。

 

ふと、自分の両腕に視線を移す。―――――血が付いていた。自分のモノかはわからない。
視線を正面に戻す。

 

土煙が晴れ、銀が抱きしめていたモノが、だんだんと姿を現す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――その右手には光を失った聖剣が

 

―――――左腕は肩から先が失われ

 

―――――胸には貫通した穴が空いている

 

 

―――――蓮が、銀に抱かれ、横たわっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッ!う”わ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!?!?」

 

 

突如部屋に響いたのは、そんな夢から醒めた、須美の絶叫だった。
悲鳴を上げながら布団から飛び起きる須美。

「ひっ・・・!はっ・・・!はっがぁ・・・!げほっげほ・・・」

夢のショックからか、少し過呼吸気味になる須美。胸に手を当て、アレは只の夢なのだと自分を落ち着けようとする。

カーテンから日が差している。もう朝なのだろう。

手探りでスマホを探し、起動させる。時計は午前7時を少し過ぎる程度であった。

自分の今の状況を整理した須美は、少し落ち着くことが出来た。

「な・・・に・・・?今の夢は・・・?」

只の悪夢とは違う、妙に現実的な夢。光景も、自身に付着した血のぬくもりも、本物そのままだった夢。

只の夢。そう思おうにも、少しリアル過ぎた。

「・・・とにかく、少し心を落ち着けましょう」

恐らく今、自分はヒドイ顔をしている――――落ち着くために、そして汗を流す為にも、須美は朝の水浴びに行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 


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