暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
G編
第87話:届かぬ声、届かぬ手
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に向かった。その道中周囲を飛び回るノイズをウィザーソードガンで撃ち抜きながら。
 1人先に言ってしまった颯人に奏は不満そうな顔をするが、直ぐに気を取り直して民間人の避難とノイズの迎撃に集中した。今ここに居る人たちを見捨てて良い道理はない。

 程なくしてこの周囲の避難は完了した。ノイズは依然上の階に攻撃し続けている。どうやらまだ事は終わっていないらしい。

 奏は颯人の後を追うべく、崩れかけた階段に向け駆けていく。その彼女の前に、帽子を被り飄々とした雰囲気の青年が姿を現した。グレムリンである。

「ハロー、奏ちゃん! 御機嫌如何?」
「お前、は――――!?」

 グレムリンの姿を見た瞬間、奏は学祭の記憶が蘇った。彼に吹き込まれた颯人の死に始まり、それからと言うもの毎晩のように彼の死を夢で見させられている事を。
 奏は直感で気付いた。ここ最近の夢見の悪さは全て彼の仕業だ。彼が全てを仕組んだのだ。

 奏は己の直観に従って、グレムリンに向けてアームドギアを構えた。

「お前、アタシに一体何したんだッ!? 颯人が死ぬかもしれないなんてホラ吹き込んだり、最近悪い夢ばかり見てるのも全部お前の所為だろッ!? 一体何がしたいんだッ!!」

 激昂した奏にアームドギアの穂先を向けられても、グレムリンは笑みを崩さない。それどころか奏の様子を見て楽しそうにすらしていた。それが無性に癇に障り、それ以上に不気味で得体が知れなくて奏は相手が生身であるにも拘らずアームドギアを振り下ろした。

「答えろッ!!」

 生身の人間に直撃すればただでは済まないアームドギアの一撃を、奏は躊躇なくグレムリンに放つ。対するグレムリンはそれを笑顔で見つめつつ避けるどころか寧ろ自分から近付いていき――――

 そして奏の一撃は空を切り、グレムリンの目前を通り過ぎ床を抉るだけに留めた。

「――――は?」

 目の前の光景が奏は信じられなかった。自分が敵相手にとは言え、生身の人間にアームドギアを振り下ろしてしまった事もそうだが、それ以上に絶対に当たると思っていた一撃が空を切った事が何よりも信じられなかった。

 一体今何が起こったのか? 絶対に当たると思った一撃が何故外れたのか? 分からないことだらけで頭が混乱し目に映る光景を脳が処理できなかった。

 その間にグレムリンは奏に接近し、彼女の手を叩いてアームドギアを落とさせると彼女の両手を左手で掴み壁に押え付けた。生身だというのに凄まじい力で押え付けられ、奏は身動きが取れなくなる。

「う、あっ!? 何すんだ、離せッ!?」
「フフフフフフッ! いい感じに“育ってくれてる”みたいだね。この分なら次のステップに進んでも良さそうだ」
〈レインボー、ナーウ〉

 グレムリンが右手をハンドオー
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