暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
G編
第87話:届かぬ声、届かぬ手
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能性が高いという事。
颯人は奏の顎に優しく手を添え、軽く持ち上げて奏の目を覗き込んだ。目は他人の心を映す鏡の様な物、もし奏の精神に何らかの魔法が掛けられているのであれば、これで何か異変を感じ取る事が出来るかもしれない。
不安そうな様子の奏の目を颯人がそっと覗き込むと、瞳の奥に何かの揺らぎの様な物が見えた気がした。魔法使いとしては若輩者の目から見たものだから、もしかすると見間違えかもしれない。
だがもしこれが、何らかの異変の兆候だとするならば…………
そこまで考えた所で、突然建物全体が揺れた。
「うお、何だッ!?」
「ッ! 颯人、あれ見ろ!?」
何事かと周囲を見渡すと、窓の外にノイズの姿を見た。その数は一体や二体ではない。何体ものノイズがタワーの周囲を飛び回り、時折突っ込んできている。
その光景に颯人は舌打ちをせずにはいられなかった。
「あいつら、こんな所で何仕出かしてくれてんだよ!?」
フィーネの連中の考えている事が全く分からない。最初の宣言の時は人質を逃がしたかと思えば、今はこうして民間人への被害を顧みずノイズを使役している。
一体何が目的なのか。響や自分達を仕留める為だとしても、やる事が派手過ぎる。やるならもっと別の方法があった筈なのに。
「とりあえずあいつら蹴散らすぞ!」
「分かった!……って、そう言えば響はッ!?」
「あっ!?」
そう言えば響の事をすっかり忘れていた。ここに居るのはそもそも響の監視の為であるというのに。
颯人が焦りを露にしていると、通信機越しにあおいが響の現状を教えてくれた。
『大丈夫よ。今の所響ちゃんのガングニールが起動は確認されていないわ。多分、シンフォギアを纏わず避難誘導に徹しているみたいね』
「そうか、そいつを聞いて安心したぜ。行くぞ、奏!」
「あぁ!」
颯人と奏は人目を逃れられる場所に向かってから、ウィザード・フレイムスタイルとガングニールを身に纏いタワーの周囲を飛び回り突撃してくるノイズを迎撃する。迎撃は主に颯人の方が担当し、奏は降り注ぐ瓦礫から人々を守る事に全力を注ぎつつ颯人が撃ち漏らしたノイズの始末をする。
その最中、颯人は気付いた。ノイズの攻撃が下よりも上に集中している。ここに降り注ぐのは、僅かに狙いをそれた云わば流れ弾の様な攻撃ばかりだという事に。
つまり、上階の方にはノイズが集中して狙う何かがある。
「奏、ここの人達の事は任せていいか? 俺はもう少し上の階に行ってくる」
「上の階? 上に何があるんだよ?」
「勘だよ勘。何か知らんけど、上に何かある気がするんだ。頼むぞ!」
「あ、おい颯人!」
奏からの返事を待たず颯人はハリケーンスタイルになると、窓を突き破って外から上の階
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