第八章
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合宿の最終日、プールサイドに絢の姿がチラッと見えた。表に出て行くと、木陰で絢と慎二が話し込んでいた。それを見ていた中河原舞野あたりがワサワサしている。
「モトシ先輩 どうして、慎二先輩があの人と仲良く話しているんですか? 前に応援に来ていた人ですよね」と僕を捉まえて聞いてきた。
「大丈夫よ あの人はモトシ先輩が付き合っている人だから」と、長崎宏美が通りすがりに、冷たく言って、合宿所に向かって行った。
あいつは、絢とのこと知っているんだ、と思いながら、二人のもとに行った。
「絢 どうしたんだ」 僕は、多分、会いたくなったからとか言うかと思っていたのだが。
「じゃぁ 俺は行くぜ 打ち上げ遅れるなよ」と慎二も合宿所に向かって歩いた行った。
「モトシ ごめんね ちょっと 相談あってなぁー」
「珍しいやん 又、ポスターの話か?」
「ちゃうねん 茜のこと 小野原さん、8月の末、来たんやって 茜のお誕生日ってこともあったしね」
「えぇー あの人? 写真持ってきたんか へぇー だから?」
「もちろん、茜 会ったわよ それで、あちこちでも写真撮ったみたい でもね、京都で撮りたいからって言われて、茜 今度、行くって言っているのよ」
「それで なんとなく、絢がなにを言いたいのかわかるけど」
「だってさ まだ、わかんないじゃあない あの人のこと 2回しか会ってないんだよ 京都行くのも泊って来るって言ってんだよ 覚悟してるって、もう、ベタボレなんだから 舞い上がっちゃって」
「それは、茜ちゃんが決めることだろう 絢はどうしたいんだよ」
「そうだけど 親友だし 心配 もっと、何回かお付き合いして・・」
「絢はその写真 見せてもらったのか」
「うん 茜 すごく、可愛い笑顔で、綺麗な写真だった」
「だったらさー それは、信頼関係があるからかもしれないな 絢 茜ちゃんを友達として、信じることも必要じゃあないか 絢が騒いだってどうにもなんないよ それは、絢が一番知っているだろう」
「そーなんだけどさー 茜 全てを任せる覚悟で行くって言ってるから・・」
確かに、茜ちゃんは比較的、幼顔でチャーミングな女性だと思う。男にとっては、愛くるしくて、好意を抱いても不思議はないだろう。
その時、長崎宏美が「モトシ先輩 もう、始まりますよ 行きましょうよ」って声を掛けてきた。
「絢 あんまり、深く立ち入るなよ」と、言って、打ち上げに向かった。
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