偽りのサーヴァント
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あっという間に見えなくなってしまったモカに、ハルトは呆れ声を上げた。
「全くあの人は……ウサギを見て追いかけるとか、ココアちゃんそっくりだな」
ハルトはそう言いながら、木陰の合間を縫って探す。だが、どこにもモカの姿はなく、どうしようかと頭をかいた。
その時。
「お? クラーケン?」
ハルトの目の前に、黄色のプラスチックが現れた。四本の足を持ったタコのような姿のそれは、上半身と下半身を別々に回転させながら、ハルトの周りを浮遊している。
プラモンスター。魔法使いとしてのハルトが持つ、使い魔の一つで、その名はイエロークラーケンといった。
「丁度よかった。あのさ、ココアちゃんのお姉さんを探しているんだけど。お前も探してくれないか?」
すると、クラーケンは肯定するように鳴く。四本の足を回転させながら、ハルトの頭上を旋回。そのまま公園の森の中へ消えていった。
「まあ、平日の昼間なんだからすぐに見つかるとは思うけど……」
ハルトは欠伸しながら、公園の中を歩く。
モカを探す一方、新春の空を見上げる。
「ムー大陸のない空か……」
平和を象徴するように、空には小鳥が飛んでいた。
モカを探索する足を止め、ハルトは小道のベンチに腰を落とす。涼しい空気を肺にため込み、吐き出す。
「この平和が……いつまで続くのかな」
「平和?」
突如かけられた、他者の声。思わず立ち上がり、背後を向く。
「やあ。初めまして。ウィザード」
「お前は?」
ハルトが警戒の色を示す。
静かな光に満ちた緑の世界に、一か所塗り潰す薄暗い蒼。
右手にウサギを摘まみ上げながら、ゆっくりと歩いてくるそれは、人間の形をしている。だが、人肌など一切見られなかった。
蒼い仮面によって人の姿に見えないのかとさえ思ったが、見える素肌は銀色、さらに仮面の下の目は赤い。それが人間だとはとても思えなかった。
蒼い仮面は、静かに両手を広げながら、ハルトに近づいてくる。
「サーヴァント。フェイカー。君にはそれで十分だろう?」
「サーヴァント……お前、参加者か!」
ハルトの言葉に、フェイカーと名乗ったサーヴァントは笑い声で返した。
「ムー大陸での戦い、見せてもらったよ。ランサーほどではないにしろ、なかなかの活躍だったね」
「それで? 俺に接触したってのは、目的があるんでしょ? まさか、サインくださいなわけがないよね」
「ふふふ」
フェイカーの蒼い仮面、その赤い瞳の部分が輝く。ウサギを放り捨て、両手を大きく広げた。
「ちょっと、君と遊んでみたくなってね。平和なところ悪いけど、付き合ってくれ」
フェイカーの両手より、バチバチと漆黒の雷が発生する。両手で円を描き
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