砂漠編 喧嘩のついでに町を救った男達
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た彼らとは、別人のようだった。顔を見合わせた3人はそれぞれの得物を手に、竜車から颯爽と飛び降ると、迫り来るモンスターの影を捕捉する。
「……あれか!」
砂塵を撒き散らし、地を踏み鳴らす轟音と共に肉迫して来る巨躯。やがて砂埃を突き破り、正体を現したその個体――ドスゲネポスの姿に、3人は鋭く目を細めた。
凶悪に両眼を吊り上げているその個体は、通常種を遥かに凌ぐ体躯であり。歴戦、と呼んで差し支えないほどに多くの死線を潜り抜けた猛者としての、殺意と気迫に溢れている。
「普通」なら。1年目の新人ハンターの手に負えるような相手ではない。
「お、おい坊主達! お前ら1年目の新人なんだろう!? 無茶するなよ、いざとなったら荷物捨ててトンズラしてもいいんだからッ!」
商隊としての矜持よりも、目の前で命を張っている少年達の未来を慮る御者は。アダイト達の背に向けて、必死に逃げるよう呼び掛けていた。
元々アダイト達は商隊に便乗していたに過ぎず、護衛任務を引き受けていたわけでもない。本来、戦う義務もないのだ。
「オレが正面に立つ。ドラコは左翼、ディノは右翼だ。……三方面から一気にカタを付けるぞ」
「おうよ、任せな!」
「心得た。……足を引っ張るなよ、ドラコ」
「てめぇにだけは言われたくねぇよ!」
――それでも。兜に隠された3人の少年の貌には、引き下がるような気配など全くない。
この鳥竜種を狩ることはもはや、彼らにとっては「決定事項」だったのだから。
「ふぅッ!」
勝負は、一瞬であった。
大顎を開き、小さな狩人を咬み殺そうと迫ってきたドスゲネポスの牙を、火竜の盾で凌ぐと――カウンターのバーンエッジを、その片眼に突き刺していく。
「よそ見してる場合かァッ!?」
「貴様の相手は、そいつ1人ではないぞ」
その激痛にドスゲネポスが怯んだ瞬間には、すでに視野の外へと移動していたディノとドラコが、挟撃の体勢に入っていた。
「踊ろうぜ、フラムエルクルテッ!」
「ブルーウィングの威力……篤と味わえ」
鬼人化による「乱舞」の発動と、最大限まで高められた溜め斬り。
一切の逃げ場も隙も与えない斬撃の嵐が、容赦なくドスゲネポスの全身に降り注ぐのだった。
血みどろになり倒れ伏したドスゲネポスは、せめて1人だけでも屠ろうと身を引きずり、眼前のアダイトに牙を剥く。その眉間にとどめの一閃が叩き込まれたのは、それから間もなくのことであった。
「……悪いな。『狩り』をしてるのは、オレ達の方なんだよ」
バーンエッジ。
フラムエルクルテ。
ブルーウィング。
いずれも火属性を持った武器であり、ドスゲネポスの皮膚に対しては有効なダメージを与えていたのである。防御に徹しても
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