特別編 追憶の百竜夜行 其の十一
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だね。やっぱり、スカルダ装備は伊達じゃないな」
意識を取り戻した瞬間、イスミは間近に迫っていたディードの貌に仰天して跳ね起きていた。そんな彼女のリアクションに微笑を浮かべつつ、ディードは再びデスピアダドを引き抜き、臨戦体勢に移行していく。
ジンオウガもすでにその巨大を立て直し、逆襲しようとしていた。
「……済まないねぇ。こんな顔、見ても面白くなかったろう」
「そうかい? 俺は見てて飽きないがね」
「なっ……!? あ……あたしをからかうなよッ! いつもいつも……あんたは本当にッ!」
一方、イスミはディードに続くようにバスターソードを構えているのだが……その頬には、先程の「近過ぎる距離感」による甘い熱が残っていた。
あまりに鋭く、見る者全てに「キツい」印象を与えてきた。そんな自分の怜悧な美貌を自覚することもなく、ただコンプレックスだけを抱えて生きてきた彼女にとっては、千載一遇の機会だったのである。
(……ディード……)
自分の素顔を見ても怖がらないどころか、優しげな視線さえ向けられる男との「再会」など。
「ちょっとちょっとぉーっ! わたし、納得いってないんですけどっ! ウツシさんから『プケプケ来るよ』って手紙が来たから、わざわざ新大陸からここまで来たっていうのに……どういうことなんですかぁっ!?」
「フィオドーラ、お前なぁ……」
だが、仄かに甘くなりかけていたそのムードは、少女ハンターの怒声によって敢えなく掻き消されてしまった。フィオドーラと呼ばれる少女は、呆れた様子で額に手を当てているディードの反応も意に介さず、ぷりぷりと怒りを露わにしている。
彼女が携行しているヒルバーボウIや、その小さな身体を守っているプケプケシリーズの防具は、いずれも毒妖鳥の素材で構成されている装備だ。それを見れば誰もが察する通り、彼女は何頭ものプケプケを仕留めてきた「手練れ」であった。
「そんなもの……当たりませんよーだっ!」
大声を出したことでジンオウガの注意を引き付けてしまったフィオドーラは、電撃玉の集中放火に晒されたのだが――彼女はその全弾を軽やかにかわしながら、毒ビンを介した矢を放っている。
不規則な軌道で飛ぶ電撃の砲弾は、ただ回避するだけでも至難の業だというのに。彼女は矢を射る体勢を維持しながら、玉の隙間を縫うような挙動でジンオウガの攻撃をすり抜けていた。
しかも、殺気立っている雷狼竜の脚に毒の矢を撃ち込みながら、である。当然ながら、「1年目の新人ハンター」としては常軌を逸した立ち回りであった。
「肝心のプケプケはドラコさん達に狩られちゃうし、もー許しませんっ! こうなったら、あのジンオウガだけでもやっつけちゃいますからねっ!」
その原動力となっているのは、怒り。自
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