特別編 追憶の百竜夜行 其の八
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ノーラが鳴らしたドラの効果によって「反撃の狼煙」が上がり、ハンター達は一気に攻勢へと転じていた。これが今回の群れを撃退し得る、最後にして最大の好機であることを直感したのだ。
「この全身に迸る力の奔流……! これを活かさない手はないなッ!」
スキュラシリーズの防具を纏うビオも、ストライプストライクIを振るってフルフルを殴打している。
柵を破り、門に迫ろうとしていた白い飛竜は頭部に痛烈な一撃を浴び、地響きを立てて転倒していた。
「やはり違う……! あのドラの音を聞いてから、俺の力は格段に跳ね上がっている! この力なら……『奴』にも勝てるかも知れないッ!」
かつて自分を打ち倒した凶暴な竜――イビルジョーが落としていった黒い鱗を握り締めて。雪辱を誓っていたビオは、より強くなれる可能性をその肌で実感し、打ち震えていた。
――自分の身体からこれほどの力を引き出せるのなら、鍛錬次第でより精強なハンターになれるはず。その時こそ必ず、あの凶暴竜を討ち取ってやる。
「俺は必ず強くなってみせる……! お前もせいぜい、そのための『糧』になるがいいッ!」
その殺意にも似た闘志を胸に、再び立ち上がろうとしていたフルフルにハンマーを振り上げたビオは。渾身の力を溜め込み、とどめの一撃を放つのだった。
電撃を放つ間もなく、頭を叩き潰されたフルフルは白い肉塊となり、倒れ伏してしまう。その光景を高台から目撃していた弓使いは、ビオが見せた破壊力に感嘆し、口笛を吹いていた。
「ヒューッ! ビオさん、相変わらず容赦ないねぇ。どんな力で殴ったら、あんなにド派手にブッ潰れちまうんだか」
遠くで戦っているビオの様子を眺めながら弓を構えているカノン・アルグリーズは、この時すでに何頭もの大型モンスターを仕留めていた。彼が愛用しているスアルクピウスIは、ドラの影響で尋常ならざる威力を発揮していたのである。
「さぁーて……俺も負けてらんねぇし、もうひと仕事しちゃおうかね。カノン・アルグリーズ様の武勇伝が、また一つ増えちまうなぁ?」
ロワーガシリーズとブナハシリーズの混合装備を纏う彼は、軽薄な言葉遣いとは裏腹な鋭い眼差しで、次の獲物を射抜いている。
彼の狙いは、1頭のバサルモス……ではなく。その岩竜を追い、幾度となく棘を飛ばしているトビカガチに向けられていた。
「くッ、あの飛雷竜……どうあっても俺達を見逃す気はないみたいだねッ!」
「……あんな奴に構ってる暇なんてないのに、面倒っ……!」
バサルモスの背に乗り、操竜状態の岩竜を走らせているウツシ。彼のガルクに乗って、その隣を並走しているエルネア。
彼ら2人を背後から追い掛けている飛雷竜は、己が纏う電流と棘の威力を以て、眼前の獲物を仕留めようとしていた。故に、気づ
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