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モンスターハンター 〜故郷なきクルセイダー〜
特別編 追憶の百竜夜行 其の七
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ルガを追い詰めていた。しかし、刃を研ぐ暇もなく戦い続けたためか、飛竜刀はその役目を果たすことも叶わず、へし折れてしまう。

「まだ……終わってはいないッ!」

 それでも、ディノは諦めることなく。折れた飛竜刀をそのまま迅竜の眼に突き刺し、背負っていたもう一つの「得物」を引き抜くのだった。
 蒼火竜より生まれし大剣、ブルーウィングだ。

(俺は所詮、真の武人にも狩人にも値せぬ半端者だ。そんな俺にも、あいつらは……手を差し伸べてくれた。お前が必要なのだと、頼ってくれた)

 ――師父にどれほど武の道を説かれても、技を鍛えられても。その力を以て為したい「夢」を見つけられなかった彼は、「出奔」という形で生家を去るしかなかった。
 そんな彼をハンターの道に誘ったのが、見習い時代のアダイトとウツシだったのである。彼らとの出会いがなければ、生涯に渡って仲間達を守り抜くという「夢」を得ることはなかった。ポッケ村という、今の拠点(いばしょ)もなかった。
 鬱陶しい奴らだと煙たがり、冷たくあしらっていた頃も。そんな彼らと衝突を繰り返し、徐々に友情を育んだ日々も。今となっては全てが懐かしく、愛おしい。

(あいつらは焔だ。俺のような迷い人を、陽の当たる世界に導く灯火だ。その輝きを脅かす奴らは、この俺が絶対に許さんッ!)

 だからこそ。彼らへの感謝の想いが今も、その胸の中にあるからこそ。反撃の爪を浴びて鮮血に塗れながらも、ディノは止まることなく大剣を振るい、迅竜にとどめを刺すのだ。

「おおおぉおッ!」

 全身全霊を込めた彼の溜め斬りに、耐えられる竜などいない。それを証明するように、力尽きたナルガクルガは断末魔と共に倒れ伏していく。

「これで……!」
「とどめですッ!」

 それと同時に、クリスティアーネの刃とベレッタの矢も、ティガレックスを撃破していた。初めて轟竜を討伐したベレッタは、感涙を浮かべて「姉代わり」の大剣使いに抱き付いている。

「ティガレックス、討伐完了……! やりました! クリスティアーネさんっ、私やりましたぁっ!」
「えぇ……お見事です、ベレッタ様」

 そんな彼女と、温かい抱擁を交わしながら。甘く熱烈な愛情を込めた眼差しで、クリスティアーネはディノの背を見つめていた。

「……ディノ様も……ご無事で、本当に良かった」

 自分達よりも遥かに傷だらけだというのに。自分よりも身長は低いはずなのに。彼の背中は山よりも大きく、逞しく見えてしまう。
 そのように感じている自分の気持ちには、もう嘘などつけない。クリスティアーネは防具に隠された豊穣な胸に手を当て、その甘く切ない高鳴りを静かに確かめていた。

「クリスティアーネさん……?」

 そんな彼女の様子を、ベレッタは涙を拭いながら不思
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