特別編 追憶の百竜夜行 其の一
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ていたアオアシラを盾にして、彼を庇ったウツシが――凄まじい猛火に飲まれ、吹き飛ばされてしまった。
直撃を受けたアオアシラは断末魔と共に消し炭になり、跡形もなく崩れ落ちていく。「真打ち」が放った火炎の威力を物語るその光景には、里守達も冷や汗をかいていた。
「くそッ……アオアシラが黒焦げになるなんて、とんでもねぇ火力だ!」
「こいつが、今回の群れの親玉かぁッ!」
「里長にばかり任せるわけにはいかねぇ……! なんとしてもコイツは、ここで止めてみせるッ!」
それでも彼らは、里の防衛を任された戦士として、恐れることなくバリスタを撃ち続けていた。そんな彼らに牽制を任せつつ、アダイトは壁に叩き付けられていたウツシに素早く駆け寄っていく。
「ウツシ、大丈夫か! 今、応急薬を……!」
「俺のことはいい……! それより、早く戦線に戻って皆を守ってくれ……! 里守の皆も覚悟はできているが、それでもモンスターと戦うのは……ハンターの仕事のはずだ!」
血みどろになりながらも、応急薬を握るアダイトの手を掴み、懸命に「戦ってくれ」と訴えてくるウツシの眼は。信じると決めた戦友の顔を、真っ直ぐに射抜いていた。
決戦の日を迎えた今になっても、この場にいる外部のハンターは現状、アダイトしかいない。それでもウツシは、必ず他の同期達も駆け付けて来ると確信している。
「……分かってる。オレだってハンターだ、依頼は必ずやり遂げるさ。だからお前も、生きて最後まで見届けてくれ」
「あぁ……頼んだよ、アダイト」
ならば自分は、そんな彼に応えられるような戦いを続けるしかない。そう結論付けたアダイトは、身動きが取れなくなっているウツシの胸に応急薬を押し付けると。
「余所者のオレには、翔蟲もガルクも扱えないが……関係ない。お前だけは、必ず狩るッ!」
バーンエッジを引き抜き、空を舞う「真打ち」こと――「大物」リオレイアを仰ぐ。激しい咆哮と共に、雌火竜がアダイトに狙いを定めたのは、その直後だった。
「……!」
そして。刺し違えてでもこの竜を討つ、と覚悟したアダイトの前に。
物々しい装備を携えた何人ものハンター達が、拠点の方向から続々と飛び降りて来たのである。
「……お前、ら」
遠方より駆け付けてきた「同期」の新人ハンター達が、ついに合流して来たのだ。本当の狩りはこれからだ、と言わんばかりに。
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