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モンスターハンター 〜故郷なきクルセイダー〜
特別編 追憶の百竜夜行 其の一
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 ――今から何年も昔の、この当時は。

 アダルバート・ルークルセイダーが、「アダイト・クロスター」と名を改めてから間もない頃であり。
 後にカムラの里の教官となる少年「ウツシ」は、ハンターの資格を得たばかりであった。

 これはそんな2人をはじめとする、後の「ツワモノ達」の在りし日の姿を追う、物語である――。

 ◇

 カムラの里に近しい地に築かれた、巨大な柵。「百竜」と形容されるほどの群れに備えるべく、カムラの里の人々はその防衛線の構築を急いでいた。
 竜人族の双子姉妹をはじめとする里の者達は、少なからず表情に焦りの色を滲ませている。里の希望となるこの牙城の完成を待たずして、モンスターの大群が押し寄せようとしているのだから。

 その進捗を見守る、里長・フゲンをはじめとする里の年長者達は、外部のハンターズギルドに応援を要請するべく「使者」を送り出していたのだが。
 それでも不安は拭い切れないらしく。彼らの険しい表情は、この事態の深刻さを雄弁に物語っている。

「……フゲンや。ウツシの奴は、間に合うのかのう。このままでは、未完成の砦が破壊されてしまうでゲコ」
「うむ……だが今は、彼奴を信じるしかあるまい。確かに今は、猫の手も借りたい状況だが……それは誰でもいいという意味ではないからな」
「そうだな。この里を導く『灯火』に相応しい者達でなければ……いずれにせよ、カムラの未来はないのだ」

 里長のフゲン。ギルドマネージャーのゴコク。加工屋のハモン。
 彼ら3人の期待を一心に背負う少年――ウツシは、里に迫る危機に共に立ち向かってくれるハンターを求めて、遠方に旅立っていたのである。

 近年では一部のハンターの素行不良がある種の社会問題として重く受け止められており、派遣先の村々も警戒するようになり始めていた。調合した薬品を高値で売り付けるため、ひたすらハチミツを強請るハンターまでいるという噂もある。
 フゲンとしても、本来なら人柄など問わず、力を貸してくれるハンターに対しては快く受け入れたいという思いがあったのだが。問題視されているハンター達の噂や、その「素行」が里の民に与える影響を鑑みれば、身勝手を承知で「選り好み」せざるを得ないのである。民を守ることを第1とせねばならない、里長としては。

「頼むぞ……ウツシ」

 故に今は、邪な心を持たない純粋さと、確かな強さを兼ね備えたハンター達の到来に期待するしかないのだ。その「ツテ」があるという、ウツシの人脈に賭けるしか。

 ◇

 百竜夜行。その名の通り、モンスターの群れが大挙して押し寄せ、村とそこに住まう人々に甚大な被害を齎す災厄である。
 カムラの里においては古くから言い伝えられてきた災いであり、里長・フゲン自身も過去にはその「最前線」を経験し
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