始業式
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冬休みが終わった。
大勢の学生にとっては絶望するような事実だが、ココアにとっては胸が弾む気分だった。
久々に袖を通した、見滝原高校の制服。足を急がせながら、ココアは学校へ向かう。
「あ! 千夜ちゃーん!」
目前を歩く、見覚えのある黒髪へココアは声をかけた。
振り向くとそこには、まさに大和撫子といった風貌の少女がいた。
長い黒髪を靡かせる、可愛らしい顔付の少女。女性的な体つきの彼女は、ココアの姿を認めるとぱあっと顔を輝かせた。
「ココアちゃん! 久しぶり!」
「千夜ちゃああああああん!」
「ココアちゃあああああん!」
ココアは、千夜と呼んだ少女へ飛び込んでいった。
笑い声を上げながら狂ったように回転するココアと千夜。やがて落ち着き、離れた二人は互いに声を合わせて言った。
「「あけましておめでとう! 今年もよろしくね!」」
同時ににっこりと笑顔で会話するココアと千夜。
「えへへ……あ、そうだ! 千夜ちゃん、今日ラビットハウスに来ない?」
「どうしたの?」
「あのね! 昨日、お姉ちゃんが来たんだよ! 千夜ちゃんも、一回会ってみようよ!」
すると、千夜は口を抑えた。
「まあ! ココアちゃんのお姉さん? それは是非一度お会いしたいわ」
「えへへ……あ!」
そのまま通学路を歩いていると、見覚えのある後ろ姿を発見する。
黒く切り揃えられたボブカットと、金髪のツインテール。それに向かって、ココアは手を挙げながら大声を上げた。
「しのちゃん! アリスちゃん!」
二人が振り返るよりも先に二人に抱き着く。
一瞬驚いた顔を浮かべた二人の少女は、ココアの存在にそれぞれ笑顔になる。
「ココアちゃん!」
「Happy new year!」
金髪の方がネイティブな新年のあいさつをする。
ココアも笑顔で、「あけましておめでとう! 今年もよろしくね!」と返した。
「ココアちゃん、元気そうでよかったです」
黒いボブカットの少女、大宮忍。彼女は両手を胸元で組み、ニッコリとしていた。
一方、背の低い金髪のツインテール。日本人離れした顔立ちと青い瞳から、異邦の地に生を受けたことがうかがえる。アリス・カータレットの名を持つ少女は、忍がココアと抱き合っているのを見て、頬を膨らませた。
「むっ……しの! ココアも! いきなり割り込んでくるなんてずるいよ!」
「だって、二人とも元気な姿が見れて嬉しいんだもん!」
ココアはアリスと忍に頬ずりする。二人とも抵抗らしい抵抗もせずに、ココアになされるがままになっていった。
「本当、去年は大変だったよね? 二人とも大丈夫だった?」
「はい。私は、アリスの実家にお邪魔し
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