始業式
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ていたので」
忍は、自身の頬に手を当てた。
「アリスのお友達のカレンって子が、本当に可愛くて。もう、お人形さんにして持って帰りたいくらいです」
「ハッ!」
その言葉に、アリスが白目を浮かべた。
「しの!? その言葉、私にも言わなかった!?」
「金髪は正義です」
「しのちゃん、シャロちゃんにも以前暴走してたからね。さあ、今年も一年、よろしくね!」
「はい!」
ココアと忍はそれぞれ手を取り合い、そのばで「あはははは」と笑い声を上げながら回転する。
「ししし、しの! 早く学校行かないと、今年最初から遅刻するよ!」
「アリスちゃんも一緒に入る?」
「むむむ……えい!」
ココアの勧誘により、校門前で三人の少女たちが連なった花を咲かせた。
それを中心で忍とアリスを振り回しながら、片目に移った千夜が、こう呟いていた。
「ほほえま〜」
「千夜ちゃんも一緒に回ろうよ!」
「そうしようかしら……」
「あなたたち、何をしているんですか」
千夜がこちらへ歩こうとしていると、鋭い声がかけられた。
見て見れば、目つきの鋭い女子生徒が校舎側から歩いてきていた。右腕に巻かれている腕章から、彼女が風紀委員であることが分かる。
「あ、紗夜ちゃん。あけましておめでとう!」
「おめでとうございます。新年早々何をやっているんですか、保登さん」
ココアと挨拶を交わす風紀委員。氷川紗夜は、ココアたち三人で抱き合っている集合体を見て言葉を失った。
ココアはにっこりとほほ笑む。
「新年のスキンシップだよ! 紗夜ちゃんも一緒に」
「やりません。そもそも、校門で何をやっているんですか。他の人の迷惑ですから、早く行きなさい」
「えー? 折角新年をみんなで無事に迎えられたのに……」
「無事……」
何かが引っかかったのか、紗夜は顔をそむけた。
「……そうですね。本当、全生徒無事でよかったです」
「紗夜ちゃん?」
紗夜が苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
だが、紗夜はそれ以上の会話をしようとせずに、ココアたちに登校を促す。
「いいから。早く行きなさい。これから、先生たちもここに来ます」
「ああ、風紀委員もやっぱり最初から朝の挨拶やるんだ」
「そういうことです。分かったら、早く登校してください。先生に見つかったら面倒になりますよ」
「はーいお母さん」
「氷川先輩も、金髪にしたらきっと似合うのにな」
まだこちらを睨んでいる紗夜をしり目に、ココアは四人で新年一発目の登校をしたのだった。
「いっけなーい! 遅刻遅刻!」
わざとらしい声を上げながら、少女は走る。
だが、時すでに遅し。今年最初の校門は、すでにその門を閉ざしていた。
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