第四章
[8]前話
「確かにずっと奥さんとは付き合っていたけれど」
「高校時代からだったね」
「それが結婚したらいつも一緒にいるよね」
「そうだね」
「特に夜は」
「それじゃあ」
「うちの奥さん美人なだけじゃないから」
こう言うのだった。
「あんな色気だよ」
「物凄いよね、奥さん」
「もう匂い立つまでにね」
そこまでというのだ。
「凄い色香だから」
「それでだね」
「もう俺もね、夜はね」
「そういうことだね」
「そうなっているから」
それでというのだ。
「疲れているかと聞かれたらね」
「実際にだね」
「否定出来ないよ」
どうしてもというのだ。
「実際ね」
「そうなんだね」
「だから食べものには気をつけて」
「体力のつくものを食べて」
「それで出来るだけでも」
心掛けてというのだ。
「寝る様にしているよ」
「さもないと身体がもたないか」
「毎晩だから」
「そういうことか」
「いや、美人で物凄い色気の奥さんを持つと」
「それはそれで大変か」
「そうだよ、どうしても夜はとなって」
それだけでなくとだ、彼は常連客にさらに話した。
「疲れたら仕事にも差し障りが出るから」
「そのことにも気をつけないといけないから」
「だから身体のことにも気をつけないといけなくなるから」
「中々大変だね」
「そうだよ、しかしそれでもね」
「ああした奥さんを持つと」
「いいよ、人生に張り合いが出るよ」
そうなるとだ、彼は言った。
「プラスマイナスでプラスそれもね」
「かなりだね」
「そうなるよ、しかもうちの奥さん気立てがよくて家事もいいから」
「料理もだね」
「全部凄いからね」
それでというのだ。
「ちゃんと体力のつくもの作って食べさせてくれるし」
「じゃあこれからも大丈夫かい」
「ああ、頑張って仕事をして」
「夜もだね」
「両方頑張っていくよ」
常連客に笑顔で話した、そうしてだった。
彼は蜜と素晴らしい時間を過ごした、幸い彼は健康を害するところまでは至らなかった。だが校長が心配した通り常に幾分の疲れが見えていたことは事実であった。蜜の魅力があまりにも素晴らしいが為に。
妖艶無双 完
2020・12・16
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