第三章
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「ですが」
「それでもですね」
「先生もお歳ですし」
「そうした人がいてもですね」
「おかしくないです」
「そうですね」
「ですが浮いたお話がなくて」
そしてというのだ。
「真面目な交際をされているなら」
「それならですね」
「問題はないとです」
こう言うのだった。
「そのことは」
「そうなのですね」
「はい」
それはというのだ、そしてだった。
その蜜自身がだ、ある日校長にこう言った。
「この度結婚することになりました」
「そうなのですか」
「はい、お相手の人は喫茶店のマスターで」
「喫茶店の」
「高校の時から交際していて」
そしてというのだ。
「この度です」
「結婚してですか」
「添い遂げることになりました」
一生というのだ。
「そうなりました」
「そうですか、おめでとうございます」
校長は蜜の言葉を聞いて笑顔で答えた。
「ではお幸せに」
「はい、それでは」
「それでこれからもお仕事は」
「続けさせてもらいます」
「それではそれからも」
こうして蜜は交際していた彼、喫茶店のマスターである小此木悠一と結婚してそうして名字も変わって二人で暮らす様になった。
蜜はよき妻であり教師としても魅力的なままでだった。
保護者達の心配もそのままだった、それで校長は言うのだった。
「もうあの人の色香は」
「仕方ないですか」
「はい」
こう親しい者に話した。
「それで間違いを犯さないので。ただ」
「ただ?」
「ご主人は大変ですね」
このことは少し苦笑いを浮かべて言った。
「まことに」
「ご主人がですか」
「いつもお身体に気をつけて」
そしてというのだ。
「過ごされて欲しいです」
「浅野いえ今は小此木先生でしたね」
「そうです、小此木先生と」
蜜、彼女とというのだ。
「そうされて欲しいです」
「そうなのですか」
「そのことを願います」
こう言うのだった、そして。
喫茶店のマスターをしている彼女の夫小此木孝家は常連の客にカウンターの中にいる時に言われていた。顎髭を少し生やした小さな一重の目で黒髪を短くした一七六程の背のがっしりとした体格の男だ。
「マスター最近痩せた?」
「そう見えるかな」
「うん、結婚してからね」
常連の客は彼にカウンターの席から言った。
「そんな気がするよ」
「心当たりあるよ」
彼は少し苦笑いになって答えた。
「そのことは」
「ああ、というと」
「結婚したらね」
そうしたらというのだ。
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