ココアのお姉ちゃん
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リュールを食べている鈴音にも尋ねる可奈美。背中を向かい合わせて座っている鈴音は、もぐもぐとたべながらこちらに顔を向けた。
「そうですね。おいしいです」
「ふふっ。ありがとう」
鈴音の称賛に、モカは笑顔で答えた。
鈴音のテーブル席には、向かいにリゲルも着席している。半分食したドリュールを、驚きの目で見つめていた。
「すごいわね……あの荷物にあった小麦粉をここまでにするなんて……これが、データでは説明できない、職人技だとでもいうの……?」
「リゲルちゃん、なかなか特徴的な感想だね」
可奈美のツッコミは、リゲルには聞こえていないようだった。
「やっぱり来てた。迎えに行く必要なかったね」
ラビットハウスの窓から中をのぞきながら、ハルトはそう言った。
可奈美、チノ。そしてなぜかいるリゲルと、見知らぬ少女が、ココアに似た女性がふるまうパンを食べているところだった。
「あの人がココアちゃんのお姉さんか……確かに、大人になったココアちゃんって感じがするね」
「あ………」
だが、ココアにはハルトの声は明らかに聞こえていない。目を大きく見開きながら、震えた口調で言った。
「お姉ちゃんが、あっという間に私のお姉ちゃんとしての立場を……!」
「こ、ココアちゃん!?」
今にも泣きだしそうになったココアを必死になだめようと、ハルトは思案を巡らせた。
「ほ、ほら! 俺は君をお姉様だと思ってるから! ほら、泣かない泣かない!」
「は……ハルトさん……」
涙目を浮かべながらハルトを見上げるココア。ハルトはそのまま、彼女の肩を掴む。
「さあ、お姉様? いざこれから、大お姉様の謁見に参りましょう!」
「ハルトさん、言ってる言葉が、意味わかんないよ……」
涙をぬぐいながらも、ようやくココアが笑ってくれた。
ハルトはクスリと吹きながら返す。
「いつもウェルカムかもーんとか言ってる君がそれを言う?」
「えへへ……」
その後、不審者の恰好をしたココアが、当たり前のように可奈美たちにもモカにも見破られ、姉妹の暖かい再会の傍ら、リゲルとそのマスター、鈴音は帰っていった。
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