ココアのお姉ちゃん
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ましょう」
「……」
「あなたは、鈴音ちゃんのお姉さん?」
二人の会話の内容を知ってか知らずか、モカが尋ねる。リゲルは「ええ」とばつの悪い顔で返事をした。
「そっかそっか。これからもよろしくね」
明らかにリゲルは逃げようとしている。だが、モカは彼女を逃がさないとばかりに矢継ぎ早に会話を続けていた。
「確かに、ココアさんに似ています」
チノの声に、可奈美はモカへ目線を戻した。
「や、近づかないで!」
リゲルは何やら恐怖を抱いているようだった。手を振り払いながらも、近づくモカから距離を持とうとする。
やがて、捕まってしまったリゲル。英霊なのに、モカを振り払うことなく、ただギュッと抱きしめられている。
「は、放しなさいよ……」
「君、自分で気づいていない?」
モカの言葉に、リゲルの体から力が抜けていった。それを自覚してかしていないのか、やがてモカにもたれかかっていく。
「何なのよ……アンタ、いきなり現れて……」
「でもね。ちょっと、放っておけなかったから」
モカが、リゲルの背中を撫でる。
「自分でも気づいていないのかな。とても疲れた顔してるよ?」
「疲れたって……」
「難しいことは私も分からないけど、全部一人で背負うことないと思うよ?」
「うるさい……」
口では反抗的だが、明らかにリゲルは傾いている。少し安心したように、動きを少なくしている。
「すご……」
英霊であるリゲルさえも手籠めてしまう彼女の包容力に感嘆しながら、可奈美は鈴音に尋ねる。
「ねえ、いいの? あれ」
「いいんじゃないですか?」
鈴音は無関心そうにつぶやく。
やがて話を切り出したのは、リゲルの巻き添えに頭を撫でられていたチノだった。
「モカさんには、休んでもらいましょうか」
「大丈夫。ココアが帰ってくるまで、お店のお手伝いするよ」
「え? いや、でも。そこまでしてもらうわけには……」
可奈美が彼女を止めようとするよりも先に、モカは行動に移った。
右袖を捲り、ガッツポーズをするモカ。
そして。
「お姉ちゃんに、任せなさい!」
あたかも後光があるように、モカの全身から光が放たれる。
それは、まさに頼れる姉オーラというべきものだろうか。
いつも姉を自称するココアが、茶番のようだった。
「っ!」
美味しい。
率直に、可奈美はそういう感想を漏らした。
「モカさん……これ……美味しすぎて、涙が出てきました」
チノもまた、その味に感激している。言葉通り、チノの目はうるうるとうるんでいた。
「ねえ、本当においしい! 鈴音ちゃんもそう思うよね!」
隣の客席で、モカが作ったド
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