2部 銀髪の悪魔
11話 最低限の約束
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「最低限の約束?」
「そうだ。最低限の約束」
「とりあえず、ソファに座って?」
エリオットは抱き寄せるのをやめると、一度、お互いにソファに座る。
そして、これからする関係に最低限の約束事を設けた。
「まずは、これはお互いに同意の上での関係で、俺はこれだけは守る。まずは必ずコンドームはする。避妊は絶対にする。そうしないと厄介な事になるからね。どんなに気をつけても必ずは妊娠の問題に直面するから、まずは避妊はする」
「はい…」
「直球で訊くのは野暮とは思うけど、この際聞くね。生理は毎月規則正しいかな?」
「実は生理不順です、私……」
「アネットもそう言っていたね。アネットも生理不順で随分と悩んでいたよ。基本的に生理の時は俺は遠慮している。血まみれになってまでやりたくないんだ。中には生理中の方が欲が湧くというけど、俺は遠慮している」
「……はい」
「俺はこの3個が最低限の約束。君の希望も聞きたい。君の最低限の約束は?」
「気持ちいいセックスをしたいです。その為に痛いのは嫌です。レイプも嫌です。だけど、何より……妊娠は嫌です」
「避妊は絶対条件だね。ミカエルはしていた?」
「かろうじて…ですけど」
「あの……」
「何かな…?」
「悩み聞いてくれませんか?」
「悩み?」
「快楽だけの関係なら、私……」
「……」
そこで水菜は黙った。
顔が泣きかけていた。言えない、という顔だ。こんな事は言えないという顔だ。
「言えない悩み?言ってくれないと俺は解らないかな。ニュータイプではないから」
「言ったら淫乱と思われるかな……って」
「淫乱?淫楽の関係で?淫楽の関係で淫乱だとダメって、それはセックスしたいのにしたくないというのと同じだよ」
「……促してください。もっと、もっと、感じてみろって、俺に夢中になってみろって。一度でもいい……理性を壊してください。私の理性の欠片を壊してください。エリオットさんに壊して欲しい。私、それが…あるから…楽しくない……セックスが」
水菜が吐き出すように本音を言った。
これだ。彼女の悩み。
理性的過ぎるからセックスしても楽しくない。淫乱と蔑まれるのが嫌なんだ。なんて根深い悩み事だろう。
これが彼女の最低限の約束だ。
「……いいだろう。どこまでやれるかわからないけど、その最低限の約束を守ろうか?」
「まぁ……セックスのカウンセリングではないけど、どうせなら、2人で追求するならそれもいい」
「エリオットさん……」
「この約束事はどうやって残そうか?紙に書くと契約みたいだし、そんな堅苦しいのも何だかね」
エリオットはソファから立つと机の引き出しを調べる。だが、背後から水菜の腕がエリオットの腰にまわってきた。背中に彼女の顔が触れる。
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