第二章
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「俺達の友達でもない」
「どうでもいい奴だ」
「ゴミだ、ゴミ」
こう言って彼との付き合いを止める約束をして実際にそうした、彼と仕事はするが挨拶もせず話しかけることも一緒に飲むこともしなかった。
そして上司もその話を聞いて言った。
「わかった、彼はそんな人間だな」
「はい、そうです」
「自分の娘って言ってた犬を平気で保健所に捨てるんです」
「それでそれを平然と言うんですよ」
「もういらないとか」
「まるでおもちゃみたいに」
「そんな人間に大事な仕事は絶対にさせない」
上司もこう言った。
「そうする」
「そうして下さい」
「そんな奴いざとなったら平気で捨てますよ」
「信じていた相手でも」
「そんな奴に大事な仕事任せたら駄目ですよ」
「何があっても」
「そうしていく」
こう言って彼にはもう大事な仕事をさせなかった、後輩達もこの話を聞いて彼とは付き合わなくなった。彼は会社の中で完全に孤立したが。
自分達の子供のことを言い続けた、だが誰も彼の話は聞いていなかった。ただ彼が気付いていなかっただけだった。
そして妻の方もだ、自分達の子供をベビーカーに乗せて散歩をして近所の人達に赤ん坊の話を笑顔でしたが。
近所の奥さんの一人が尋ねた。
「ふわりちゃん元気?ずっと見ないけれど」
「犬?捨てましたよ」
邪険そうに答えた。
「そうしましたよ」
「えっ、捨てたって」
「はい、保健所に」
そうしたとだ、あっさりと答えた。
「朝から晩まで泣いて五月蠅くて私も赤ちゃんも参るから」
「それで捨てたの」
「清々しました」
今度は明るい顔で言った。
「ケージに入れていても五月蠅いし」
「お散歩は?ブラッシングは?」
「しないですよ、赤ちゃんいるのに」
これが返事だった。
「ご飯は一日一回あげてましたよ、トイレも一日一回なおしてあげましたし」
「そ、そうなの」
「はい、それでも五月蠅いんで」
「捨てたの」
「保健所に」
こう言って自分達のことを話した、だが。
話を聞いた近所の奥さんはその話をすぐに近所の奥さん達に話した、すると誰もが顔を顰めさせた。
「命を何と思ってるのかしら」
「あんなに可愛がっていたのに」
「子供が生まれたらポイなのね」
「あんな人と思わなかったわ」
「最低ね」
「もうあんな人と付き合えないわ」
「私犬飼ってるのに」
そうした家の奥さんが最も怒った。
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