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Fate/WizarDragonknight
銀から赤へ
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 そこにいたのは、銀。
 銀の異形が、裏拳でファントムの顔面を殴り飛ばし、人質となっていた少女を抱えているところだった。
 彼(?)はそのまま少女を下ろし、そのまま彼女が逃げ去るのを見送る。そして、ファントムと向かい合うと同時に、その顔をこちらに見せてくれた。

「人間……じゃない……!」

 それは、人間といえる姿ではなかった。人類と同じように、円形に近い顔に目、鼻、口はあるのだが、目は白のみで瞳孔もなく、表情も石像のように固定されている。グレーの体色のボディのところどころに赤い装飾がされており、無言のまま、それは格闘ポーズをファントムへ向けた。

「貴様、何物だ!?」

 怒り心頭のファントムが怒鳴る。しかし、銀は答えることなく、ファントムへ挑みかかった。

「小癪な!」

 ファントムの砲台より放たれた光弾。それは、銀に命中し、的確なダメージを与えていく。
 だが、銀は全く痛がる様子を見せない。全身に力を込めて踏ん張っていた。
 そして、銀は胸元へ手を握る。
 そして、その手を大きく振ると同時に、その姿が赤く変わっていく。もはや銀と形容できないほどに赤の比率が増した彼は、さらに次の動きに入る。
 右手に装着された、アンクレットが灯す緑の光。それを天に高く突き上げると、そこから現れた光の雨とともに、あたかも空間のように光が形成されていく。
 やがてドーム状に降りていくそれは、彼とファントムの姿をハルトの前から消し去った。
 そこには、乗り捨てられた車の他、何も残る物はなかった。

「消えた……!」

 ハルトは、ただその事実を茫然と呟くほかなかった。



「な、何だここは……!?」

 ファントム、スプリガンは驚いていた。
 街で人々を絶望させようとしていたのに、魔法使いどころか、謎の銀の人物の妨害により、計画が全て破綻してしまった。
 それだけならばまだしも、この銀___今は赤___の人物の仕業か、今いる空間は、先ほどまで暴れていた空間でさえない。彼が発した光により、現在地が赤土色の地面、オーロラのような空の世界になっていたのだ。

「ええい、貴様、一体何をした!?」

 だが、赤がそれに応えるはずもない。掛け声とともに、この敵はスプリガンへ襲い掛かってきた。

「不用心だな!」

 スプリガンは、再生成した盾で赤の拳を防ぎ、逆に剣で応戦する。
 赤はそれを防御するが、所詮素手。やがて武器を持つスプリガンには旗色が悪くなり、やがてスプリガンの剣の前に体が引き裂かれていく。

「食らえ!」

 スプリガンの光弾。それは、赤を周囲の空間ごと爆撃していく。
 だが、少し後ずさった赤は、両手を真っすぐ天へ伸ばす。それを胸元で何かを形作る動きをして、地面を指さす。
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