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Fate/WizarDragonknight
銀から赤へ
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身で挑んでいったハルトを探して、人がいなくなった街をココアは走っていた。
 姉を迎えに行こうとしたら、ウサギに遭遇。ついつい追いかけてしまった矢先で、怪物騒ぎに遭遇。逃げるとき、見覚えのある人影が怪物へ立ち向かっていくのを目撃した。
 非現実的な怪物に襲われるのも三回目になる。そんな慣れを覚えてしまっている自分に驚きながら、ココアは見慣れた長身の姿を探した。
 その時。

「動くな!」

 そんなドスの利いた声が、ココアの注意を引いた。見れば、少し離れた道路に、騎士の姿をした怪物がいた。盾も半壊し、姿も傷ついているが、そんな彼に哀れみを抱けなかったのは、彼の左腕に小さな女の子が捕まっているからだった。

「お前……!」

 そして、怪物と向かい合うもう一つの異形。黒いローブに、トパーズのような装飾。魔法使いのような風貌の人がそこにいた。
 だが、彼は少女を見ながら、動けないようだった。体を前に進めては、少女の姿をみてまた元に戻している。

「少しでも動いたら、この人間が絶望どころじゃない目にあうぞ?」

 怪物が少女の頬に剣を当てる。鋭い刃が、彼女の柔肌を傷つける。

「おっと、動くなと言っているだろ!」

 怪物がそう叫びながら、背中の砲台より光弾を発射する。
 腰のホルスターへ手を伸ばそうとしていた魔法使いは、それに対して防御できずに被弾、弾き飛ばされた。

「不用心だな。……まさか、このガキゲートだったりしないか? それなら、絶望したらファントムも増えるから一石二鳥だ」
「させるか……!」

 魔法使いが唇を噛むが、怪物は光弾での攻撃を怠らない。どんどんダメージが蓄積され、魔法使いの姿は乗り捨てられた車の向こうに見えなくなってしまった。
 邪魔者を消した怪物は、そのまま少女を自身の顔と同じ程度の高さへ持ち上げる。恐怖でおびえる少女の顔が、ココアからもよく見えた。

「さあ、お前を助ける者はもういない。絶望してファントムを生み出せ!」
「いけない!」

 気付いた時にはもう、ココアは駆け出していた。
 何ができるかなど分からない。だが、あの少女を助けるために動かなくてはと、体が勝手に動いていた。
 そして。
 何がそうさせたのか。
 ポーチの中にある、白い棒。それを取り出し、まるで刀を鞘から引き抜くように、それを抜く。
 淡い光を放つそれは、ココアの姿を包み、みるみるうちにその姿を変えていった。
 そして、その光の中、ココアの意識はだんだん薄れていった。



「ぬおっ!」

 そんな声が、ファントムから聞こえてきた。
 変身を解除されたハルトは起き上がり、現状確認のために再びファントムと対峙したところに戻ってきた。
 そして、言葉を失った。

「……え?」

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