第二章
[8]前話
「それはな」
「そうよね、その奇跡に感謝して」
「そしてね」
「家に連れて帰ろう」
「そしてまた一緒に過ごしましょう」
こう話してドジャーを家に連れて帰ってまた一緒に暮らしだした、一家は思わぬ偶然から幸せを取り戻した。
その後でだ、夫婦は娘とドジャーに留守番を頼んでフィリピンに旅行に行ったが。
そこで地元の料理を出している屋台に入ってその料理を楽しみつつ若い店の主、あどけない顔立ちの黒髪の彼が英語を話せるのでドジャーのことを話すと。
青年はそれならとなって自分の料理を食べている二人に言ってきた。二人は今屋台の席に並んで座って食べている。
「僕のところもですよ」
「あんたのところもかい」
「ええ、僕ルスティコ=サムソン=ジュニアっていうんですが」
ここで名乗りもした、そして。
傍で大人しく座っている白地に黒のブチがある垂れ耳のその耳と首が茶色の犬を観つつ話した。
「ココっていうんですが。雄です」
「その子がかい?」
夫は鶏肉料理を食べつつ応えた、これは美味いと思いながら。
「行方不明だったのかい」
「ええ、急にいなくなって」
「ワン」
その犬を見つつさらに話した。
「それで三ヶ月経ったら」
「見付かったのかい」
「少し離れた場所の駐車場にいました」
そうだったというのだ。
「これが」
「そうだったんだ」
「ツイッターで連絡受けて。もうお店は友達に任せて」
そうしてというのだ。
「そこに飛んで行ってお互い抱き合いました」
「それは何よりだね」
「全くですよ、急にいなくなったんですが」
今はリードを付けられているココを見つつさらに話した。
「また一緒に暮らせる様になって何よりです」
「全くだね、じゃあこれからもお互いに」
「犬とですね」
「一緒に暮らしていこう」
「ですね、いいお話を聞いたんでこれはサービスです」
青年は夫だけでなく妻の方にも鶏肉料理をもう一皿出して言ってきた。
「どうぞ」
「こっちのお金はいいんだね」
「ええ、召し上がって下さい」
「ではね」
「お言葉に甘えて」
妻も応えた、そうしてだった。
二人は青年の屋台での料理を楽しんだ、そうしてだった。
犬を見た、犬は今は飼い主の傍にいる。それはもう二度と離れまいと決心しているかの様であった。
失踪した犬との再会 完
2021・6・23
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