大変! お姉ちゃんが来る!
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「寝坊したあああああああああ!」
そんな声が頭上からしてきた。
腰に無数の指輪を付けたホルスターが特徴の青年は、「あー」と天上を見上げた。
「ココアちゃん、寝坊か……」
松菜ハルトは、天井を見上げて呟いた。
「あれ? 今日だよね? ココアちゃんのお姉さんが来るの」
そうハルトへ言ったのは、カウンターの向かいで様々な物品を整理している少女だった。この喫茶店、ラビットハウスの赤い制服を着ながら、手慣れた様子で収納していく。
黒い髪留めで一部を止めた、元気な顔が特徴の少女、衛藤可奈美。
「そうだよ。年賀状に来るって書いてあったらしくて。その日付が今日。あ、可奈美ちゃんそれ待って」
「え?」
ハルトは、間違ったグラスを収納した可奈美を呼び止める。だが、タイミングがいけなかったのか、可奈美の手が滑り、グラスが真っ逆さまに落下した。
「あっ!」
『コネクト プリーズ』
「セーフ」
だが、グラスが地面で透明な花を咲かせる直前で、ハルトの手が摘まみ上げていた。
ハルトの位置は、ホールから変わっていない。その腕が突っ込んだ魔法陣、その先が可奈美の足元に繋がり、グラスの命を救ったのだ。
「あ、ありがとハルトさん……」
「危ない……気を付けてよ、可奈美ちゃん」
ハルトが魔法陣から腕を引っ張り出す。すると、魔法陣を通じて、グラスがハルトの手に現れた。
まだ上の階からドタバタと忙しない音が聞こえてきた。
ハルトと可奈美は顔を合わせ、噴き出す。
「ココアちゃんが降りてくるまで少しかかりそうだし、手伝うよ」
「え? そんな悪いよ。ハルトさん、今日シフト入ってないのに」
「いいよ。どうせココアちゃんが来るまで暇だし。それになにより、やっぱり可奈美ちゃんに整理をお願いする方が不安だし」
そういいながら、私服ながらもハルトはカウンターの奥に入った。
可奈美はショックを受けた表情をする。
「私そんなにひどい!? 結構ここの仕事も慣れてきたと思ったのに!」
「ひどいひどい。可奈美ちゃん、きちんと整理している人は、ベッドの上に刀なんか置かないよ」
「うっ……だって……」
可奈美が上目遣いで見つめてくる。厳しい指摘をするのに少し抵抗を感じて……
「最近、千鳥を握ってないと眠れないんだもん……」
「うん、その感覚は絶対におかしい」
ハルトは思いっきりの指摘をした。
可奈美が「ひーん!」と悲鳴を上げたが、そのすべてをハルトは無視した。
「えっと……それで、何の指示受けてんの?」
「皿洗いと整理だよ。皿洗いは大体終わったんだけど」
「じゃあ、整理の方は俺が手伝うよ。えっと、これは……」
ハルトは、
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