大変! お姉ちゃんが来る!
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ココアに返しながら尋ねる。
ココアは「だって〜」と前置きを置き、
「もう十一時だよ? お姉ちゃんが来ていたら、真っ先に私のところに来るはずだもん。……寝坊してるところには来てほしくないけど。だから、きっと迷子になってるんだよ」
「携帯に連絡したら?」
「お姉ちゃんスマホ持ってないから……」
「今時珍しいね」
ハルトは頷いた。
「それで、逆にこっちが迎えに行こうと」
「うん。地図も書いたけど、もしかしたら迷ってるんじゃ……」
ココアの顔がどんどん青くなっていく。
ハルトは苦笑する。
「少しは落ち着いたら?」
「でも……」
「そうだよ。ココアちゃんのお姉ちゃんが見たいのは、しっかりと仕事をしているココアちゃんなんだから」
「さっきまで配置をガッツリ間違えた可奈美ちゃんが言うと説得力あるな」
「っ!」
可奈美の笑顔が固まった。
だが、彼女の言葉だけではココアは安心しなかった。
逆に荷物を急いでまとめ、叫んだ。
「やっぱり私、お姉ちゃんを迎えに行ってくる!」
ハルトと可奈美が止める間もなく、ココアは店を飛び出していった。
「あ、ココアちゃん!?」
「行っちゃったね……」
ココアが去って、がらんと戻った入口を眺めながらハルトは呟いた。
可奈美が頷いたタイミングで、再び呼び鈴が鳴る。
「あ、可奈美ちゃん」
「いらっしゃいま……あれ?」
「ただいま戻りました」
そう言ってラビットハウスに入ってきたのは、小学生とも見紛う、小さい少女。銀色の髪の上に乗せたアンゴラウサギが目を引く彼女は、防寒具をしっかりと身にまといながら、胸元に買い出しの豆類を抱えている。
「お帰り。チノちゃん」
可奈美がにっこりとほほ笑む。
笑顔を浮かべた少女、香風チノは、会釈してそのまま歩く。
ハルトは彼女の前に屈み、荷物を受け取ろうとする。
「あ、それ俺が持つよ」
「いえ、大丈夫です。立派なバリスタになるためにも、最後までやらせてください」
そう宣言したチノは、そのまま店の奥へ向かっていった。振り向きざま、チノは尋ねる。
「そういえばさっき、ココアさんが走って出ていくのを見ました。何かありましたか?」
「ああ。お姉さんを迎えに行くらしいよ」
ハルトがそう言った瞬間、ポケットから音が鳴った。
ハルトのスマホ。取り出すとそこには、ココアが「可愛いウサギがいたよ!」と写真付きのメッセージが。
「おい、姉はどうした!?」
「でも、可愛いです……!」
いつの間にか覗き込んでいたチノが目を輝かせていた。
「でも、これじゃ今度はココアちゃんが迷子になるってことになるんじゃない?」
可奈美が呟いた。彼女のスマ
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