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ソードアート・オンライン〜アインクラッド・アクセル〜
アインクラッド
〜剣の世界〜 2
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ど成立するはずもない上に、“殺人”という更に重い罪状がつく。
どちらもリスクに見合うだけのリターンがない事を、天才と呼ばれた彼なら理解しているはずだ。だというのにそれを行うというのは、とてもではないが想像できない。
『私の目的は、そのどちらでもない。それどころか、今の私は、すでに一切の目的も、理由も持たない。なぜなら・・・・・・この状況こそが、私にとっての最終的な目的だからだ。この世界を創り出し、観賞するためにのみ私は《ナーヴギア》を、SAOを造った。そして今、全ては達成せしめられた』
最早狂気の所業としか言えない。あらゆる意味も目的もなく、ただこの状況へと導くことこそが彼の行動理念であったなら、そもそも彼に人生とはなんだったのか? その答えは決して他人には理解できるはずもないし、仮に彼と同じ高みに到達したとて、その終着点はあまりに無意味だ。天才故の孤独といった次元の話とは何もかもが違う。
『・・・・・・以上で、《ソードアート・オンライン》正式サービスのチュートリアルを終了する。プレイヤー諸君の―――健闘を祈る』
最後の最後で一番の謎を残し、彼は無機質に告げると、扮する赤ローブは再び、登場した際と同じ粘度を持った深紅の液体へと変質し、空を埋め尽くすシステムメッセージへと戻っていく。
完全にそれが姿を消し、一面の赤だった空はそれと同時に、僅か数分前の状況―――夕焼けが映えた茜色の空を映し出していた。辺りのNPC楽団が奏でる和やかな音楽が、殊更にそれまでにおきていた状況を混乱させていく。
・・・誰もが、この状況の理解をし終えていなかった。夢か現実か? その境界線も定まらぬまま、ただただ唖然としてその場に佇むばかりだった。
だが・・・・・・。
「い・・・いやああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
・・・ある一人があげた悲鳴。あまりの混乱状態に、NPC楽団の音楽さえ耳に届かなかったプレイヤー達の耳に届いたその叫びは、氷結した思考と魂を溶かし、同時に、届かぬと知りながら、あるいは、届くであろう事を願って、自身の負の感情を極限まで高め放つ。
「嘘だろ・・・なんだよこれ、嘘だろ!」
「ふざけんな! 出せ! ここから出せよ!」
「こんな困る! このあと約束があるのよ!」
「嫌ああ! 帰して! 帰してよおおお!」
悲鳴。怒号。絶叫。罵声。懇願。咆哮。遅まきながら溢れだす然るべき反応。それらの多重奏は不協和音となり、広場を大きく震わせた。
あまりの絶望に頭を抱えうずくまり、理不尽なこの状況に怒り天に向け拳をつきあげ、隣人と悲しみにくれ抱き合い、あるいは場違いに他人を罵り、正に阿鼻叫喚の地獄絵図となった広場を眺め、不思議とレンヤの思考は落ち着いてきていた。
「・・・大丈夫か、ユーリー?」
あまりの絶望に、
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