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ソードアート・オンライン〜アインクラッド・アクセル〜
アインクラッド
〜剣の世界〜 1
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の瞼を開く。そこに広がるのは自分の部屋の見慣れた天井ではなく、広大な石畳と、周囲を囲む街路樹。瀟洒な中世のような町並みであった。
百層にも及ぶ巨大な浮遊城《アインクラッド》。数多の都市と小規模な町や村、森や草原、湖などが存在する。その多層城には、層と層を繋ぐ《迷宮区》と呼ばれるいわばその層のラストダンジョンが存在し、そこを守護するボスモンスターを倒すことにより、次の層への道が開かれる。そんな百層もの連なりこそ、この《ソードアート・オンライン》の舞台なのだ。
その《アインクラッド》の土台ともいえる第一層、さらにそのスタート地点である《はじまりの街》の中央広場に彼は降り立ったのだ。
辺りを見回すと、自分の視線が現実より高くなっているのを感じ、自分の身体なのかを一瞬疑うが、手のひらを軽く開いたり閉じたりしてみると、その動作に違和感はなく間違いなくこれは自分の身体なのだと実感できた。βテスト時代からこの微妙な感覚のずれは付きまとったが、そのずれも今や懐かしく感じる。
「・・・ただいま、《アインクラッド》・・・オレは、遂に帰ってきたぜ」
数ヶ月前、βテストが終了するその瞬間に、それまでのキャラクターデータがリセットされた時の衝撃は自身の人生の中でも間違いなく一位だろう。たかだか二ヶ月だが、彼はその仮想の肉体でこの世界を駆けた。非ダイブ時も、常に頭はこの世界の事を思い描いていた。まさに“生きていた”のだ。
もはや自分の半身といっても過言ではなかった。その衝撃と喪失感は筆舌に尽くしがたいはずだ。それでも、βテストの最初に丹精込めてつくったこのアバターのデータだけは残っていたのを知った時にはかるく涙したものだ。
・・・自身がこの世界に降り立った感動をひとしきり満喫した後、一度しっかりと辺りを見回す。広場のいたる所から淡い光が立ち上り、それが消失するとそこには程度の違いはあれど眉目秀麗な美男美女が現れた。その光は、非常に高価なアイテムである『転移結晶』を使った時か、ゲームにログインしたときに発生するエフェクトだ。
彼らもまた、この《アインクラッド》にやってきた住人――わずか一万本もの初回ロットを手にする事が出来た幸運なプレイヤー達だ。正式サービスが開始されてから既に10分は経過しているはずだが、それでもまだログイン者が絶えないのを見るに、自分と同じように、何かしらのやむにやまれぬ事情でログインが遅くなったものたちだろう。このあまりにも少ない初回ロットを手に入れたのだ、誰も彼もが重度のゲーマーであり、そんな彼らが正式サービスの開始と同時にログインしないなんてあるはずがないと勝手に思い込んでいたりする。
・・・とはいえ、そんな他人の事情などは正直関係なく、この先もしかしたらパーティを組むかもしれない者たちを眺め、とりあえずはβテスト時の記憶を
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