第一章
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ボブキャットの子猫
アメリカテネシー州在住のジル=ヒックスはブロンドの髪を奇麗にセットした知的な顔立ちの女性である。スーツがよく似合っている。
その彼女が家に帰ると夫は目を丸くした。
「ニャア」
「変わった猫だな」
「仕事の帰りに見付けたの」
夫のシャーロックに話した、夫は茶色の髪をブローにした茶色の聡明そうな目で穏やかな外見の長身の男性だ。二人共均整の取れたスタイルだ。
「兎かと思って車を停めて見たら」
「猫だったんだな」
「ええ、駐車場で飼うわね」
「別にいいんじゃないか?」
夫は自分と一緒にいるシェパードと十歳位の三毛猫を見て言った、どちらも雌である。
「ローズとサフランも生きものが好きだし」
「ええ、けれどうちに馴れるまではね」
「駐車場でか」
「飼うわ、それで徐々にね」
「うちに馴れてもらってか」
「お家に入ってもらうわ」
こう夫に話した。
「ローズとサフランもそれでいいわね」
「ワン」
「ニャア」
夫の両脇にそれぞれいる二匹も鳴いて応えた、いいと言っている感じなので彼女もよしとした。だが。
夫は妻の手の中にいる子猫を見て言った。
「しかし斑点がある子猫か」
「珍しいわね」
「ああ、それでまずはな」
「獣医さんにも診てもらうわ」
こう話してだった。
二人はその子猫を拾った翌日に獣医に診せたが。
「猫じゃないですね」
「えっ、違うんですか」
「猫じゃないですか」
「この子はボブキャットです」
この生きものだというのだ。
「身体に斑点がありますし他の特徴もあります」
「何か違うと思っていたら」
「そうでしたか」
「テネシーではこの生きものは飼えないので」
ボブキャットはというのだ。
「ですから」
「それで、ですか」
「この子はですか」
「はい、施設の方にお話します」
こうしてボブキャットは獣医から施設の人に渡された、その施設は野生動物の保護施設でそこからだった。
ジェニパー=ルッツという金髪を腰まで伸ばし藤色の目で面長の顔を持つ中肉中背の女の人が来てボブキャットを獣医から引き取った、この時に彼女は同席していたヒックス夫妻に尋ねた。
「この子雄ですね」
「はい、そうです」
「実はオーウェンと名付けています」
「わかりました、オーウェンは私達が引き取りまして」
そうしてとだ、ジェニパーはルッツに答えた。
「後はです」
「施設の方で、ですか」
「面倒を見てくれますか」
「はい、そして」
夫婦にさらに話した。
「自然保護区で暮らしてもらいます」
「そうしてくれますか」
「この子を」
「お任せ下さい」
二人に笑顔で応えてオーウェンを引き取って施設で野生に戻す訓練をしてから自然保護区
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