第二章
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実際にその男からクレームが来た、しかし社長はことの次第を逆に話してクレームは受けなかった。しかも。
車内の状況を乗客の一人がスマートフォンで録画していてユーチューブ等に流した、それでこの件が世に知られ。
男は氏素性も突き止められ世間の糾弾を受けた、こうしたことがあった。
その話を社長から話を聞いた獣医の池上和也、丸々と太って丸眼鏡をかけた髪の毛が一本もない彼はこう言った。社長は家の猫を連れて彼の病院に連れて来ていた。
「こちらにも来ています」
「盲導犬がですか」
「その子とは別の子でしょうが」
バスの中の盲導犬はというのだ。
「この子ですが」
「ワン」
見ればやや茶色の毛のラブラドールレッドリバーだ。
「毛色が聞いているお話と違うので」
「そうですね、その子は白で」
「この子は薄茶色なので」
「また違いますね」
「ですがこの子は」
獣医はさらに話した、傍には飼い主と思われる初老の男の人が座っている。
「今はこうして穏やかですが」
「盲導犬らしいですね」
「ですが」
それでもというのだ。
「補助器を外しますと」
「そうすると、ですか」
「その時はです」
社長に話した。
「盲導犬は定期的に診察を受けないといけないですが」
「やっぱりいつも万全に働かないといけないので」
「そうしてもらっていますが」
それでもというのだ。「こうして来てもらってその時は補助器を外しますが」
「それでもですか」
「その時は物凄くはしゃいで」
そうなってというのだ。
「病院の中を走り回って人にじゃれつきます」
「普通の犬みたいに」
「そうなります」
「私の盲導犬として」
飼い主の人も言ってきた。
「いつも我慢しているんです」
「遊びたいのにですか」
「はい」
社長に答えた。
「そうしてくれています」
「そうですか」
「ですが補助器を外しますと」
盲導犬のそれをというのだ。
「本来の姿に戻るんですね」
「犬のですね」
「有り難いですし申し訳ないです」
飼い主は社長に泣きそうな顔で述べた。
「本当に」
「いえ、それは」
「そう思っていますので」
違うと言って慰めようとした社長に自分から言って止めた。
「私が」
「そうですか」
「はい、ですが引退したら」
盲導犬をというのだ。
「幸せに過ごせるので。施設で」
「だからその時まで、ですね」
「申し訳ないですが」
働いてもらうとだ、こう言ってだった。
飼い主は盲導犬、自分の傍にいる犬の背中を撫でた。犬はこの時も大人しくしていた。その光景を見てだった。
社長は愛猫の診察が終わってから家に帰り出勤した時に秋山にその犬のことを話した、すると秋山はこう言った。
「これからも大事にしていきた
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