4章
プロローグ
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
これが夢だって分かったら、なんか気楽になった。
夕焼けの空の下。センチメンタルな感情を呼び起こす色合いの下に、物静かな石の塊が佇んでいる。
生来の好奇心から、その石の塊のところまで歩いてみた。
丘の上から眺めた時は、かなりの距離があると思ったが、実際に歩いてみればそれほど遠くなく、ものの数分でその場所までたどり着けた。
「すごーい! 太古のロマンを感じるよ!」
つい最近、太古のロマンどころか太古の超兵器と対面した気がするが、そんな記憶はどこ吹く風。両手をカメラのように組ませながら、自ら「パシャッパシャッ」と効果音を鳴らす。
「よ、よし! 行こう!」
架空の写真撮影にも飽きて、遺跡に向かって突入する。
入った途端、鼻腔に暖かい匂いが逡巡する。だが、阻まれることなく突き進んだ。
やがて、最奥らしき台に到達する。
祭壇のような台。そこには、美しい白く、細長い物が設置されていた。
「何? これ」
暖かい光を放つそれを、恐る恐る手に取る。すると、腕を伝い、全身に温もりが走ってきた。
「うわあ……」
目を輝かせる。
すると、白い物より発せられた光は、どんどん祭壇に吸収されていった。やがて吸収された光は、目の前で巨大な人の形となる。
「……」
その巨人の姿に、言葉を失った。
光でシルエット以上の姿が見えないが、巨人は静かに自身を見下ろしている。
「えっと……貴方は?」
その問いかけに対し、巨人は全く言葉を発さない。ただ、腰を下ろし、右手を静かに伸ばしてきた。
「?」
どうすればいいか分からず、その手を右手で触れる。すると、持ったままの白い物体が、巨人に触れた。
やがて巨人の体は、光となって白い物体に吸い込まれていく。
その姿が完全に消失した後、白い物体、その持ち手部分にある青の宝石が一際の輝きを放った。
「これは……?」
だが、その疑問に答える者は、どこにもいなかった。
「……さん、開店の時間ですよ、起きて下さい」
その声に、徐々に意識を覚醒させていく。
もう起床時間だと、閉じた瞼の底で意識が叫ぶ。
だが、今は新年二日目。まだ朝早く起きるには寒すぎる。
もう少し布団の中でくるまっていたい、と体が訴えた。
「あと二十分……」
無意識の言い訳が口から出てきた。
「……さん」
自分を呼ぶ声と意識が、起きろと。
寒さと自分の体が、まだ寝ようと。
そして。
「お姉ちゃんのねぼすけ」
起きた。
「「がっ!」」
自分を起こしていた銀髪の少女と額をぶつけ、互いにノックアウト。
お互いに額を抑えながら、愛しい少女が自分を睨
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ