無間アスタリスク
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彼が例の剣から放ったどす黒い砲撃……否、巨大な斬撃によって一刀両断される。またしても一撃でマリアージュが全滅してしまったイクスは次のマリアージュを用意しようとしたものの……、
キンッ!
「ッ!?」
ドサッ!!
一瞬だった。彼がイクスの軍刀を根本からへし折り、そのまま地面に押し倒した彼女の首筋に自らの剣の刃を押し当てたのだ。あまりの実力の違いを肌で感じたイクスは、全ての覚悟を決めて目を閉じた。だが、彼女に死は訪れなかった。
「やるべき事がまだ残っているなら、すぐに果たせ。もう猶予は無い」
「え……?」
「状況は既に動き出した。アレが使われれば、ガレアが世界から消えるのは自明の理だ。後はわかるな?」
「……」
「これが最後の忠告だ。さらばだ、戦友。もう二度と会う事は無いだろう」
そうして、彼はイクスに何もせず去った。仰向けで倒れた姿勢のまま灰色の空を見つめるイクスは静かに呟く。
「戦友だと思ってくれてるなら、こうなる前に頼ってくださいよ……! あなた達のために……何も出来なかったじゃないですか……!」
王ではなくただの少女として、涙を流すイクス。国に、政治に、運命に翻弄された挙句、全ての友人を失った彼女の哀しみが、私の中に流れ込んでくる。
あぁ、どうして……なぜ運命は私から全てを奪うんですか? なんで私の傍から誰もいなくなるんですか!? イヤ……独りはイヤ……! ひとりぼっちはイヤだ……! あの孤独が怖い! 誰か……誰かいないのですか!? 私を独りにしないで……誰か、私を見つけてください……!
私は王です。王とは孤独であり、孤高の存在。ならば友が離れていくことも必然だったんです。そう、王は生きている限り国のために自らの全てを捧げ、国民のために責任を果たさねばなりません。それが王と成った者の義務なのです。
少女としてのイクス、王としてのイクス。二つの相反する思考が、一つの人格に問いかける。苦しい葛藤の末、かつてのイクスの中では王としての人格が勝利した。そしてガレアの王としてデウスの抜け殻を封印するという責務を果たし、彼女は長き眠りについた。
イクスは王として生き、王として歴史から退場した。彼女はまだ私の中で生きているが、それはともかく、イクスは私情より使命を果たすことを選んだのだ。実際、当時の社会でも、歴史的に見ても、世界秩序的に見ても、それは正しい判断だと誰もが判断するだろう。今在る世界を守るために犠牲になったのだから、その世界に住む者としては称賛するべき行為なのだろう。
しかし……いくら称賛の声が上がったとしても、それで犠牲になった者が報われたとは思えない。むしろ当事者の気持ちを全く理解しないまま、犠牲を喜ぶ世界に怒りを覚える人もいる。だがそういった声は大抵封
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