無間アスタリスク
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分けた……」
ああ、と彼は肯定する。シャンテは見てしまったのだろう、聖王教会が影に飲まれる所を。ようやく信じてもいいと思えた人達が皆殺しにされた瞬間を。
立場は違えど、彼女と私は同類だ。アクーナが滅ぼされた時の私と、今のシャンテの姿が重なって見えた。また、この世界に新たな報復心が生まれたのだ。
「シャンテ、一つ聞かせて欲しい。その怒りは誰かが彼女を倒せば発散できるもの? 彼女を消せば恨みを晴らせるもの?」
「ああ! アイツだけは絶対に許せない! アイツを倒してくれるんなら何でも手伝う! だからお願いだ、アイツを倒してほしい!!」
右足を怪我しているにも関わらず、彼女は懸命に頭を下げてくる。こんな少女から討伐依頼を受けるとは、世も末だなぁ……。でも、彼女の気持ちは私には痛いほど理解できた。
「わかった、あなたの報復心は私が預かる」
「あ、ありがとう。こんな事、管理局に頼めないからな……。ところでさ……一応聞いておきたいんだけど、あんた達、昨日は敵の拠点を攻めてたんだよな。じゃあ聖王教会を守らなかったのはどうしてだ?」
「理由はいくつかあるけど、口外しても問題ないものなら、当時聖王教会にいた戦力で十分と思ってたから。まぁ、結果はご覧の通りだけど」
「あんたの想像より教会の人達が弱かったか、あるいは敵が強かったのか」
「ま、今回の件は恐らく後者が適用されると思うね」
ナノマシンに関しては私もよく知らない分野だから、全身黒焦げから再生できるまでの能力があるなんて想像もしなかったし、ましてやそれがリトルクイーンに注入されてたなんて知りもしなかったからなぁ。むしろフェイト・テスタロッサが片腕であそこまで善戦できたことの方が凄まじいと思う。だから彼女と協力していればリトルクイーンを倒せずとも無力化は出来たかもしれないが、今更そう考えた所で後の祭り。
そもそも聖王教会はシャンテの味方ではあっても、私の味方ではない。管理局員のように背中から撃ってくる可能性がある相手には初めから近寄りたくないのだ。
「正直モヤモヤは残ってるけど、理由はちゃんと教えてくれたから納得しておく。それと、あたしはミッドの地理や抜け道には詳しいから、どうしても行きたい場所があったら聞いてほしい。多分役に立てるはず」
「うん、その時はよろしく頼むよ」
さて……シャンテの右足の治療のために、ここの医務室へ彼女を運ぶように防衛隊の彼に頼んだ所、彼から怪我人は彼女だけじゃないと聞く。
「彼女のアジトに一人、負傷した管理局員を匿っているらしい。影分身の魔法で敵を翻弄している内に、そいつを聖王教会から逃がした。右足の怪我はその時に負ったんだと」
「影分身とは興味深い魔法だけど、それはともかく、その管理局員の特徴は?
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