第一章
[2]次話
犬猿の仲ですら
インドの動物園ビーバールファームに片腕の雄猿がいる、名前をアウニという。まだ子猿だが不幸な事故で左腕をなくしている。
そのアウニを見て猿達の飼育員であるマガバーン=シャイー浅黒い肌に明るい顔立ちと引き締まった顔に痩せた中背の彼は言った。
「今一つです」
「片腕のせいかだね」
「はい、左手がないせいか」
動物園の延長に話した。
「他の猿と打ち解けていません」
「何かと不自由があるしね」
片腕だと、とだ。園長は応えた。
「どうしてもね」
「はい、ですから」
それでというのだ。
「どうも。親にもです」
「打ち解けていないんだね」
「距離を置いています」
そうだというのだ。
「今も」
「だから君としては困っていて」
「どうすべきか。友達がいれば」
「それならだ」
ここで園長は少し考えてからシャイーに言った。
「虎やライオンの子供を育てた犬の話を聞いたことがある」
「犬ですか」
「そう、犬に友達になってもらうか」
そのアウニに、というのだ。
「そうなってもらうか」
「犬ですか」
「犬と猿は仲が悪いという国もあるが」
それでもというのだ。
「ここはものは試しで」
「犬に来てもらう」
「どうだろうか」
「そうですね、どうしても猿達と打ち解けてくれないですし」
それならとだ、シャイーは園長に応えた。
「それで一度です」
「やってみるね」
「そうしてみます」
こう言ってだった。
シャイーはアウニにムンヌという黒井垂れ耳の雌の大型犬を会わせてみた、最初アウニは種族が違うとみて警戒していた。
だがアウニの方がだった。
「ワンワン」
「キィッ!?」
「ワン」
警戒しているアウニのところに近付いてだった。
そうして彼のところに行って優しく接した、すると。
警戒していたアウニも打ち解けてだった。
ムンヌと仲良くなった、そしていつも彼女の傍にいる様になり。
動物園の犬のところに入ってそこで暮らしはじめた、ムンヌ以外の犬達も彼を快く迎えてそうしてだった。
アウニはその中で幸せに過ごす様になった、シャイーはこのことに喜んだが。
今度は犬の飼育員のチャンドラ=ゴータマー恰幅のいい大柄な青年である彼が言った。やはり肌は浅黒い。
「うちのカーリーですが」
「あの茶色の耳の白い雌犬だね」
「あの子が今一つ群れに馴染んでいないんです」
こう園長に話した。
「どうしたものか」
「だったらその子もだな」
園長はゴータマーに答えた。
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