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レーヴァティン
第二百八話 ライン川へその四

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「攻めるな、しかしな」
「しかし?」
「寒いな」
 今度はこのことを言うのだった。
「予想以上にな」
「雪が降っていて」
「それで随分積もっていてな」
「そして天気も荒れているので」
「寒いな、防寒対策していてよかったな」
 久志はこう言った。
「だから兵達もな」
「常に温かくして」
「そうしておくことですね」
「そのことを既に命じておられますが」
「これからもですね」
「病気に自然と口にするものにはな」
 本陣にいる将帥達にさらに話した。
「やっぱりな」
「気をつけることですね」
「敵と同じだけ」
「それで、ですね」
「今もですね」
「ああ、ちゃんとな」
 それこそというのだ。
「寒くない様にしておくことだ」
「厚着をして」
「寝る時も毛布を何枚も被る」
「テントも厚く」
「そうしておくことですね」
「それと熱いものを食え」
 こうも言った。
「それもしっかりとな」
「そして身体を温め」
「栄養を摂り」
「戦に向かう」
「そうしていきますね」
「そうしていくんだよ、敵もな」
 騎士団軍もというのだ。
「それはわかってるよな」
「はい、自分達の国ですから」
「よくわかっています」
「服も靴もしっかりしています」
「飯についてもです」
 将帥達も答えた。
「熱いものを食っています」
「雪原の中をよく進んでいます」
「むしろ我等以上です」
「我等以上によく動いています」
「地の利は実感だからな」 
 知識ではなくというのだ。
「それで知るからな」
「左様ですね」
「その肌身で知るものです」
「そしてわかるものです」
「地の利は」
「ああ、そこに生まれてな」
 そうしてというのだ。
「育っていな」
「住んでいますと」
「それでわかりますね」
「左様ですね」
「そうしたものだからな」
 それでというのだ。
「奴等もわかってるな」
「そうですね」
「この時期この国は大雪が降ります」
「そして天候も荒れます」
「そうなります」
「それがよくわかっているからな」
 まさに肌身でというのだ。
「俺達より上手に動くな、そんな相手だしな」
「尚更ですか」
「ここは慎重に進みますか」
「そうしていきますか」
「そしてな」
 そのうえでというのだ。
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