先立つ"砂崩し"
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囲の砂が津波のように盛り上がり,大蛇丸を飲み込まんと襲い掛かる。十数メートルはあろうかという高さだ。
「さすがは風影といったところ……けれど……」
ザッ!
余裕の表情を浮かべる大蛇丸の前に,穢土転生された烈斗が立ちふさがる。その手には巨大な扇子が握られている。
「初代様……!」
「風遁・大カマイタチ!!!」
ブン!
烈斗が扇子を広げ一振りすると,たちまち強風が吹き荒れ砂金の津波がことごとく吹き飛ばされる。
「くっ……これが伝え聞く初代様の風遁……!同じ術でも,規模が桁違いだ……!」
初代風影の風遁を駆使する戦闘スタイルは羅砂の実娘をはじめ多くの後進の忍に受け継がれているが,その圧倒的な威力に羅砂は一瞬,根本的に異なる能力なのではないかと錯覚した。
「クク……次はこちらから……」
今度は三代目風影が前に進み出,口から黒い粉をゆっくりと吹き出す。
「!!……黒阿先生の砂鉄……!」
驚く羅砂をよそに,黒い粉は集合していくつかの塊となり更に鋭く細長い形へと変化していく。
「これは……!」
「砂鉄時雨!!!」
鋭い形状となった砂鉄の塊が一斉に羅砂へ向かって飛んでいく。
「くっ……磁遁!!」
羅砂は咄嗟に手を前へ出し,磁力で操られている砂鉄を,同じく磁力で食い止める。細長い塊はかろうじて羅砂に当たる直前で止まり,相反する力を二方向から受けて小刻みに震えている。
「私もあなたに師事した身……あなたから直接教わったこの磁遁,あなた自身が,甘く見ないでください!」
磁遁同士の押し合いが拮抗し,膠着状態となる。
「さすがに磁遁同士ではラチが明かないわね……。なら……」
大蛇丸が再び両掌を合わせ更なる術で追撃を加えようとしたが……
ザッ!ザッ!
「大蛇丸様,こちらは終わりましたよ。」
少し離れて戦闘していたカブトと君麻呂が戻ってきた。それぞれが倒した忍を片腕に抱えている。
「!!……サハラ!ゴビー!」
二人が倒されているのを見た羅砂は,一瞬気をそらしてしまう。
グサッ!グサッ!グサッ!
「ぐあっ……!!」
その瞬間,磁遁の力が緩んで押し合いに敗れ,砂鉄のトゲが体に突き刺さった。
「く……しまった……!」
当然のことながら,この戦機を見逃す大蛇丸ではない。
ザッ!
「!!」
「勝負は一瞬の緩みが命取りになるものよ。……"草薙の剣"!」
大蛇丸は羅砂の目の前まで距離を詰め,口の中から取り出した剣をその胸に突き立てる。
グサッ!!!
「ぐはぁっ……!!!」
「あら奇遇ね,私も今終わったところよ。」
大蛇丸が剣を抜くと,羅砂はゆっくりと倒れる。
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