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渦巻く滄海 紅き空 【下】
四十九 トロイの木馬
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ない。
両者からの攻撃に警戒していた角都は、背中が何かにぶつかり、ハッ、と背後を振り返った。


「しまっ…!」

背中が大木にあたり、逃げ道が無くなったその瞬間、潜んでいたチョウジが印を結ぶ。

「【肉弾針戦車】!!」


大木の幹から転がり落ちた戦車。
縄で繋いだ多数のクナイを身体中に巻き付け、まさに巨大な針鼠と化したチョウジが角都目掛けて墜落してくる。

砂煙が舞い上がった。
































「まったく。丁重に扱ってほしいものだよ…」

木ノ葉隠れの里。
木ノ葉に連行された再不斬が持参していた水。

木ノ葉隠れ暗部の拷問・尋問部隊隊長である森乃イビキによって投げ捨てられたソレは、再不斬が拘束されていた牢から遠く離れた場所へ移動すると、嘆息を零す。


水筒の中身であった液体──否、液化してその身を水へ変えていた鬼灯水月は自らの身体を見下ろした。
鬱蒼と生い茂る叢にイビキが撒き散らしたせいで、縮んでしまった我が身を嘆く。


「おっと。嘆いている場合じゃないな」

自らを液状化させる【水化の術】。
その術で、水筒の中に入り込み、木ノ葉隠れの里へ潜入を果たした水月は、秘かに行動を開始する。
ナルトの言っていたトロイの木馬は、桃地再不斬ではなく水月のことを示していたのである。


五代目火影を始めとした木ノ葉忍びが皆、『暁』に眼が向いている中、内部に注意がいかない今が絶好のチャンス。


身体を液化して水筒に潜り込んでいたので、今現在、裸である水月はまずは衣類を調達する。
何処かの民家で干されていた服を適当に拝借し、木ノ葉の里の内部──否、その地下へ足を踏み入れた。


深く深く、地下の淀んだ世界──光である木ノ葉と相反する闇。
木ノ葉の暗部養成部門【根】の本拠地である地下へ、トロイの木馬は音もなく忍び込んだ。






















「不意打ちのつもりだったのだろうが…残念だったな」

チョウジの攻撃を受けても、傷ひとつない敵に、シカマルは眉を顰める。

桃地再不斬と角都の戦闘から、ある程度は分析していた。
硬化の術、つまりは土遁使いだ。

再不斬の首切り包丁の猛攻を受ける際、角都は硬化の術を使った。
相性不利だと再不斬も言っていたので、間違いないだろう。

皮膚を硬化し、圧倒的な防御力を付与する術は土遁の使い手でないと、首切り包丁の鋭利な攻撃を受けきれない。
つまり物理攻撃は、相手に効かないということ。
更に、角都は再不斬の【水牢の術】を内側から破ってみせた。



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