暁 〜小説投稿サイト〜
艶やかな天使の血族
2部 銀髪の悪魔
9話 眠れない夜
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いですね。私は酒が入ると酔いつぶれるんですよ。お酒、弱いんです」
「大丈夫?ウイスキーなんて飲んで」
「酔いつぶれたらエリオットさんがどうするのか…見たいなあ…」
「……ふふっ。さて、どうするかな」
(酔いつぶれるの見たいなあ。どれほど乱れるのか見物じゃないか)
「あんまりこの間の事は思い出さないで。俺は君を肉欲の奴隷にはしないから。するなら対等でだね」
「さあ…飲んで」

 不思議。この人の前ならウイスキーも美味しく感じる。 
 リラックスした感じの脚の組み方とか、腕の組み方とか、酒を飲む仕草も、品がある。
 ウイスキーと一緒に何ががまわってくるみたい……そのまま勢いでセックスしてもいいよ…。
 酒が弱いというのは本当だ。目の感じが少し虚ろな雰囲気だった。水菜には、酒の魔力と共にエリオットの魔力も吹き込まれた感じだった。
 一体…この人のセックスって気持ちいいのかな…?
 でも、その前に眠気がいい感じで襲ってきた。横になりたい。

「すいません。何か私は眠気が襲ってきました。自分の部屋に戻りますね…」
「あ、あれ?」

 足元がおぼつかない。エリオットはソファから立ち彼女を支える。

「明らかに飲み過ぎたね。寝酒を誘ってすまない…」
「少し酔いを醒ましてから部屋に戻れば?俺はここにいるよ」

 何気なく身体を支えるエリオット。
 水菜がかわいい所がこんな所にある。
 酔いつぶれる顔がいい。男の欲を煽る顔だった。
 自分自身も感じる。
 俺の中の悪魔が、そのまま彼女を襲えと。
 そのまま彼女を虜にしてしまえと。
 どうするか…?
 
「すいません。そこのソファで横になっていいですか?」
「別に構わないよ。君の寝顔を肴にするのも悪いないね」

 水菜はこんなに眠気が襲うのは初めてだった。このまま泥のように寝たい気分。
 身体を横にして少し寝息を立てる。
 エリオットはここでまた、グサリと刺さる何かを見た。
 微かに空いた口が色っぽく見える。
 キス…か。
 この夜はキスだけに止めたい。
 グラスを置くと、水菜のもとに寄り添うエリオット。しゃがみこむ。
 そして1言、謝罪をした。

「すまないね。不意討ちさせて貰うよ」

 そっと。
 エリオットはここで不思議なものを感じる。キスを交わした瞬間。頭の中が麻痺するかのような感覚を抱いた。

(なんだ?この感覚は…?アネットとは違う。もっと別の…柔らかく花の香りだ…。花の蜜の味だ…)
「……。今まで感じた事もない…。何者なんだ…?君は…?」

 水菜はエリオットのキスを交わしても余りの睡魔で深く眠ったままだった。
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