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魔術QBしろう☆マギカ〜異界の極東でなんでさを叫んだつるぎ〜
第1話 約束は果たすとしよう
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キュベーターの首を飛ばした。

「ふむ、どうやら投影も宝具も問題なく使えるようだな」
 口に出し、確認する。もはや投影のための詠唱すらいらない程に手慣れた陰陽剣だったが、今の自分は本来の身体ではない。念のために呪文を詠唱し、制作プロセスを踏んでじっくり投影したが、剣製自体はサーヴァントだった頃と特に変わらないようだ。干将・莫耶の能力も変化は見られない。他の宝具がどうかは未知数だが、それは後で試していけばいいだろう。
「しかし、やはり身体が変わってしまっているのは痛いな」
 苦々しい思いで言葉を吐く。この貧弱な肉体では、強化したところで高が知れている。何よりも、構造自体が全く変わってしまったことが厄介だ。自分の戦闘経験は、当たり前だが2本足の人間の身体であることを前提としている。4本足の小動物では、とても十全には活かせないだろう。腕代わりになっている耳毛については、自由関節な上にかなり長く伸びることが魅力といえば魅力だが、使いこなせるまでに時間を要するだろう。

「全く、問題だらけだな」
 溜息を吐く。自身の経験が当てはめにくいひ弱な身体な上に、救うべき対象が何処の誰かもわからない現状。正直に言って、アクションに困る。
 少しこの状況の一因だろうマギカの抑止力に恨みを向けそうになるが、苦笑とともにそれを引っ込めた。想定外にも程がある事態なのは確かだが、どの道あのまま座へと帰還したところでただの記録になるしかなかった身だ。それならば、多少の苦労はあっても人格を持っている現状はそう文句を言えたものでもない。答を得た、その時のままの気持ちで再び歩いているのだから。
「それに、約束はしてしまったからな」
 自分の主だった赤い少女には、これからは頑張っていくと。自分をこの場へ導いた抑止力には、彼女の救いたい者たちを救うと。
「ならば、約束は果たすとしよう」

 そこで、おもむろに空を仰ぎ、宣言する。
「悪いがね、インキュベーターたちよ。君たちの計画は邪魔させてもらおう」
 このインキュベーターという生物の役割を考える限り、マギカの抑止力の言っていた少女たちとは魔法少女のことに間違いないだろう。問題はそれが誰かということだが、自然とわかると言っていた以上現在地から遠い場所にいることはないと見ていい。
 そして、魔法少女を救うのならば、インキュベーターたちの思い通りにさせていいはずがない。
「貴様らのやり方は、ああ、確かにいつかは宇宙の多くの者を救うのだろうさ。だが、その過程でどれだけの命が理不尽に奪われる? どれだけの者が絶望に沈む?」
 知らず知らずの内に、声に怒りがこもっていた。そのことを自覚し、エミヤは不思議なものだと思う。聖杯戦争前の自分なら当然だと思っただろうに、まるであの未熟者の様ではないか。何よりも、それを悪くないと思っ
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