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魔術QBしろう☆マギカ〜異界の極東でなんでさを叫んだつるぎ〜
第1話 約束は果たすとしよう
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自己完結をする。
「つまり、君は精神疾患に
罹
(
かか
)
ったんだね」
精神疾患――インキュベーターたちの間では感情はそう扱われていることは、解析により知っていた。それに思い至ると同時に、エミヤは改めて今の状態に気付く。どうやら、自分はインキュベーターになったというよりも、インキュベーターの内の1つの活動機能を乗っ取っている状態にあるらしい。いや、魔術回路まで搭載されているのだから、むしろ改造というべきか。
相手に自意識があるのなら罪悪感の1つも覚えたかもしれないが、この種族の場合種族全体で1つの体の様なものなのであまりそういう気にならない。
「やれやれ、それじゃあ君は処分しないといけないね」
実際には何も思っていないだろうに、面倒そうな声を上げてインキュベーターがこちらに耳毛を伸ばしてくる。
「くっ、感情を持ったと判断すれば、いきなりそれかね?」
「当然だろう? 僕たちは魔法少女と契約し、エネルギーを採取しなければならないんだから」
別の方向から、目の前の相手と同じ声が掛けられる。
「精神疾患を持つ個体なんて不安定な存在を放置するリスクは、冒す意味がないと思うな」
見回せば、何処から現れたのか新たに2体のインキュベーターがこちらに耳毛を伸ばしていた。なるほど、インキュベーターはそれぞれ全くの無個性な存在。その力が全く同一である以上、その処分には多数が集まる必要があるわけだ。そして、それには3体もいれば十分と判断したのだろう。
普通ならば、その考えは間違いではない。ただ、今回はその“普通”ではなかった。
「
投影開始
(
トレース・オン
)
」
舌に馴染んだ呪文を詠む。次いで、体内の魔術回路に魔力が巡り、
蠕動
(
ぜんどう
)
する。悪寒を伴う苦痛に耐えながらも、心は静かに思考を重ねていく。
――基本骨子、解明
――構成材質、解明
「
全工程完了
(
トレース・オフ
)
」
その言葉を告げた時には、耳毛に二振りの中華剣を握っていた。もはや自身の一部の様に身体に馴染んだ、白と黒の夫婦剣、“
干将
(
かんしょう
)
・
莫耶
(
ばくや
)
”だ。
突然武器が出現したことにインキュベーターたちが驚いた様子を見せるが、それに構わず行動を起こす。
最も近くにいた最初のインキュベーターを干将の一撃で唐竹割りにし、莫耶を最も遠い位置に立つインキュベーターへ投擲した。白刃が獲物を貫く瞬間を見るより先に、残ったインキュベーターが自身と莫耶を繋ぐ直線上になる位置まで駆ける。
そして、互いに引き合う夫婦剣の性質が発揮され、莫耶が宙を舞って干将の許へ、即ちエミヤの許へと飛んでくる。当然、それは途中にいるインキュベーターを貫くコースだ。
最後のインキュベーターは間一髪で莫耶の刃をかわすが、それは想定内のこと。よけた方へと干将の一太刀が閃き、イン
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