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幻の旋律
最終話 さよならをメロディーに乗せて
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ここは、大牟田市民大ホールである。
賢治は表入り口前で、クラスに集合をかけた。

「君らは、今日この日のために、苦しい練習にも耐えてきた・・
緊張する必要はない・・皆で呼吸し歌う、ただそれだけだ・・
俺はこの瞬間を、忘れなぜ・・」
「先生!頑張るぜ!ハハハハ」
皆は気合が入っていた。
「ようし!行け、スタンバイだ!」

今日は、合唱コンクールの本番である。
地域の住人、来賓数多く客が入っていた。
一方、裏口前にて木村警部は、数十人の部下に集合をかけた。

「おい!気を抜くんじゃないぞ、俺の第六感によると、滝沢はこの会場にいる!
ある男を殺しにな・・その男を何が何でも死守しろいいな!」
「その男とは一体何者ですか?」
「ああ・・その男は、日本を代表する超一流の数学者だ・・」
「では、配置につけ!」

オープニングは、幸代の前奏曲「華麗なる大演舞曲」であり、力強い演奏は会場を盛り上げた。しかし、その中にひとりの男が紛れ込んでいた。演奏を聴きに来ていたわけでない。黒いバックを抱えていた。

「深谷賢治・・いや、伊能賢治だったな・・
この会場にいることは分かっている・・今日しか機会はないはずだ・・待ってろハハハ
俺はお前ら三人のせいで人生が狂ってしまったぜ・・・」

女は、店に入った。
「今日の十時に予約していた者です」
ここは、高級サロン、「マルコフ」である。
「こちらにお座り下さい・・」
女は座り、鏡に写った自分を見ていた。
「初めまして・・当店のカリスマ美容師の太田祐二と申します・・」
女は、無関心な表情で鏡に写ってるその美容師を見ていた。
「今日は、どんな風にしたいですか?・・私は、どんな要望でもお応え致します・・」
と自信の溢れた様子で言い、女の長い髪を触り始めた。
「そうね・・・」
女は考え込んでいた。
「美容師さん・・」
「何ですか・・」
「あなた、カリスマでしょ?カリスマって、お客の注文を受けた瞬間、すでに、完成後のイメージが出来てるの??」
「ハッ!?・・」
美容師は動揺していた。そんな質問をされたのは初めてであったからである。
「は・・い!もちろん・・」
「そう・・それが可能なあなたって、きっと芸術家なんだわね・・」
女は微笑みながら言った。
「芸術かハハハハハお客様にそのような最高の褒め言葉を頂いたのは初めてです!」
「そうね・・では・・・」

「映画、ニキータの髪型にしてくれる・・」
「まさか!・・・それは、かなりの短髪ですよ!・・」

各クラスの合唱の最後のプログラムが終わり。
表彰を終え閉会を控えていた。しばらくの時間があった。
生徒も先生達も大変和やかな雰囲気で閉会までの時間を過ごしていた。以前の高校の雰囲気に戻ったようである。

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