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幻の旋律
最終話 さよならをメロディーに乗せて
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・・」
              
クラスは悲しみの底に落ちて行った・・
あまりにも突然で、そうなるのも当然である。人生の厳しさ教えられた。普通は面と向かって言うべきであろう・・そして、また会おうと・・しかし賢治は違った。

賢治は前日から有明沿岸を歩き続け砂浜で眠り波の音で目が覚めた。
一人海を見ながら追憶していた。

「ねえ、お爺ちゃん何処まで歩くの・・」
「そうだな・・気が済むまでだ・・・
人間には生まれ持った使命がある・・
それに気がつき、人生を終えることが出来る人間は一体この世の中に何人いるだろうか・・・・」
「使命・・」
「ああ・・それに気がつき、何か成し遂げる者・・
誰かに絶大な影響を与える者・・まあ様々だ・・・
指命を果たしたが、自分自身でそれに気がつかない者もいるであろう・・」
「では、僕の宿命とは何なの・・」
「そうだな・・答えは風の中だ・・・」
「まあ・・それより今夜の宿を探すぞ・・ハハハハ」

やがて、賢治は立ち上がり歩き始めた・・

「お爺ちゃん・・もう行くの・・」
「ああ・・そろそろ、時間だ・・」
「・・・・」
「この出会いが運命であればまたあの子に会えるさ・・」

数日後、職員室の幸代の元に、住所不明の手紙が届いた。
封筒に何か入っている。
「誰なの・・」
幸代は封筒を開け手紙を広げた。

「幸代、世話になったな・・最後の最後まで俺の代わりにHRありがとな
俺は、もう一度、少年時代に戻り、この大自然の中で、豊かな情緒を育み暮らすよ・・
君だけは、時間との共有だけでは物足りない・・
では自分の使命があるのならそれを果たしてくれ・・
またその時にでも会えたらな・・」

待鳥は、手紙の途中まで読み、慌てて学校を飛び出した。
「何、その時って!今から向かうわ!北へ向かえばいいのね・・」

幸代は三池港へ車を走らせ、有明沿岸道路に乗った。
「今日は夕日が綺麗ね・・あっ!この橋は・・」
やがて、車を橋の脇に停車し、夕日を眺めた。懐かしい感覚が鮮明に蘇った。

「ねえ・・お母さん、誰を待ってるの・・・」
「そうね・・・伊能忠敬だよ・・」
「だれそれ・・・」
「あ!誰か来る・・・・二人いるよ・・」
「今夜は、御もてなしをするのよ・・先に還って準備してきなさい・・」
「はーい!今夜は楽しくなるね・・」

「いやこの橋はまだ渡らないわ・・・」

「私は幼い頃、母と二人で、有明沿岸沿の鹿島市に住んでいたわ・・そして二人の旅人は偶然にも、その街を訪れた。しばらくその街に滞在した二人の旅人は、やがて出て行ったわ・・」

「私はあの日、あなたをずっと待っていたわ・・・
だから今度は、あなたが待つ番だわ!
私決めたの、一年後よ!
私にはやる
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