最終話 さよならをメロディーに乗せて
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などいなかった。皆振り返った。重たい荷物を抱えたその後ろ姿に皆、幻を見るかのように見ていた。
賢治は、有明沿岸道路を一歩一歩かみしめながら歩いていた。
「この道路には様々なドラマがある・・俺は、25年前、ちょうどこの地点から歩いたぜ・・」
賢治の記憶は今は鮮明だ。
女は写真を見ていた。そして、吸っていた煙草を窓から投げ捨て、ゆっくりと車から降りた。
「すみません・・佐々木の娘です・・面会に来ました。」
笑顔を振りまき、警戒警備をいとも簡単に突破した。
受付で名前を書き言った。
「十三号室でお願いしたいわ・・・」
「はい?・・ご希望通りに致します。第一三号室はここをまっすぐ行ったところです。」
「コツ、コツ、コツ・・・」
やがて、部屋のノブに手をかけ入った。そこに佐々木はガラス越しに座っていた。
「お前、誰だ・・・サングラスを取れ!」
その女は立ったまま、佐々木をじっと眺めていた。
やがて、トレンチコートのポケットから手を出し口を開いた。
「チェック・メイト・・」
「バキューン・・・・・」
わずか、数秒の出来事であった。近くにいた盗聴委員は言葉を失い、しばらくそこから動けなかった。
やげて、再び手をコートに入れ歩き出した。
「コツ、コツ、コツ・・・」
女の足音が、刑務所に響く・・・
「賢治・・あなたの幼い頃の悲愴が、再び蘇ってしまったわ・・・
あの、爆発の炎、あなたの仕業でしょ?私は遠くから見ていたわ・・
あれはあなたの、悲愴の炎なのよ・・
あなたのいるこの世界に、佐々木は存在してはいけないのよ・・」
そこには魔性の香りが漂っていた。
今日は就業式である。
「なんで深谷先生いないのですか?」
「今日は欠勤なの。何か急用ができたらしくて・・」
幸代は顔色を変えずに言った。
「まあ、いつもの事だ・・どうせ三年次の担任も先生だろうハハハハ」
「まあ、そうかのもね・・」
幸代は苦笑いをした。
「まあ、それより、まずは帰りの支度しなさい!教室内の私物全部持って帰るのよ・・」
生徒はしばらく荷物整理をした。
「賢治・・今、一体どこにいるの・・・」
「はい・・それでは・・帰りの準備は出来ましたか・・・」
生徒は、皆注目している。
「ええ・・今日、深谷先生から手紙を預かっています・・・」
「なに、それー手紙?ハハハハ柄にもなく・・・」
生徒達は笑っていた。
「覚悟しなさい・・今からあなた達は、どこまでも落ちていくのよ・・・」
幸代は、手紙を読み始めた。
「合唱コンクールお疲れ、残念だったな。準優勝だ・・しかし、皆最高に良かったよ。俺はすごく幸せだ・・・」
生徒は、喜んでいた。
「へ・・深谷先生、今日は素直だな、本当は俺たちの事好き
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