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幻の旋律
最終話 さよならをメロディーに乗せて
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幸代は、十円硬貨を取り出し、じっと見つめた。そして投げた。

「やはり北だわね・・・」


 九州北部は、大被害を受け、経済的にも大混乱に陥った。それだけではない、玄海原発の放射能が大量に漏れるという日本最大規模の大惨事が起こってしまった。やがて、再び石炭の重要性が国会で検討され、有明沿岸道路を利用し石炭の大輸送計画案が持ち上がった。これは古賀誠議員の提案であった。もちろん、無限の石炭発掘地とされてる三池炭鉱は復活することとなったのである。
当時から伊能良蔵を追跡していたジャーナリスト狩野大成氏はやがて、脚本家となりこの出来事に深く関わっていた、木村警部、待鳥幸代、らの協力を得て、この一連の出来事をドラマ化したのである。そこで、二人は交流を持つこととなり。木村警部により幸代は、賢治についてのすべてを知ることとなる。もう一人の重要人物である塩塚美香は、佐々木殺害容疑で全国に指命手配された。この捜索に木村警部は関与し、彼女を追いつめたが、博多港からの韓国行きの密輸船に乗せてしまったのだった。しかし、その数日後、九州北部大地震による巨大津波で船は沈没、また彼女も行方不明となっている。ほぼ同時刻に、深谷賢治もこの巨大津波に呑まれたことになるが、二人の死体は今だに発見されていない。もしかすると二人は、何処か異国の砂浜に流れついたのかもしれない。その真相を知る者は存在しなのだ。しかし、ソウルでの刑法研修ツアーに参加した木村警部は、そこで、ある驚くべき噂を耳にするのだ。それは、二人の日本人らしき男女が、済州島に漂流したというものだ。木村警部は帰国後も、二人の行方を追っている。
このドラマは三人の男の「使命」を描いた作品であり。タイトルは「有明の風」とつけられた。挿入曲として、「ピアノ協奏曲、宿命」「月光第一楽章」「トロイメライ」「悲愴第二楽章」「別れの曲」などが使われた。終わりは、三人の男が背を向け、砂浜を歩いて行く・・という実話とは異なる幻像的なシーンだが、人々の余韻を浸らせ話題を呼び社会現象とまでとなった。警視庁でも「時効制度」の見直しが提案されたほどだ。また、現代の若者達にも「三人の男達の最後」に心を打たれ多大な影響を与えた。それらの若者達に「それぞれの使命」について考えてくれたのであれば嬉しい限りである。



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