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幻の旋律
第九話 加速する臨場
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ったのか!」
「はい・・当時この事実を知る者はいませんでした。中島の漁民達は、当然、代表である伊能良蔵、現場監督である平賀源内を恨んでいた。その被害者の遺族の中に滝沢がいました。当時小学6年生です。この事故を機会に自信喪失になった平賀は数年の間現場から姿を消しました。
当時、私の父である木村捜査官は銀竜組に睨まれる中、麻薬捜査をしていました。やがて麻薬輸送と橋げた落下事故の関連性に気がついた父は、伊能良蔵を第七工事現場に呼び出しました。しかし、その事をすでに悟っていた佐々木は、後をつけ、崖にいる二人のうち木村刑事を狙撃、そのよろめいた、木村刑事を、伊能良蔵は崖から落ちないように支えたのですが・・・」
「二人は転落死しました・・この二人は、名前が違うが親子です・・捜査が迫ってる事を感ずき、伊能良蔵は私等親子の名前を変えさせたのです・・その計らいがなければ私は、この福岡県警に採用されなかったでしょう・・」
「と言うことは・・警部を含め三人は家族だったのですね!」
周囲は騒ぎ始めた。
「はい、そのようですね・・先日、戸籍謄本で確認致しました。
この二人は崖から落ちる瞬間まで最後に、どんな親子の会話をしたのか・・私なりに想像できます・・大変無念なことであります・・・
このように、私の父である木村捜査官は、橋げた事件の真相を掴んでいました。しかし主犯である佐々木を逮捕することができなかった。これもまた無念であります・・」
「そうだな・・あれは時効事件となってしまったからな・・」
「はい・・そのようですね・・」
「しかし二人が死んで、佐々木の思うがままだな・・・」
「いいえ・・この時、佐々木はある重要な存在を見落としていた・・
それは・・
伊能良蔵の孫の存在です・・」
「何!・・」

そのとき、三池港に一台の車が入って来た。日産の最高級車プレジデントである。
やがて、幸代の前に停車し、中から男が出てきた。賢治である。この車とは組長の愛車である。

「よ・・待たせたな」
幸代は驚き言った。
「教員のあんたが・・なんて車に乗ってるのよ!」
「ハハハハ・・イカスだろ?まあ借り物だがな・・」
「まあ、それより・・・
今日は、一段と綺麗だぜ・・ハハハハ」
「何よ!私の事、馬鹿にしてるでしょ?おめかしして来いと言ったでしょ!」
「さあ行くか・・」
「一体何処に?」
「決めていない、だからコインを振れ!表が出たら、北!・・裏が出たら南だ!」
「何よそれハハハハ!なんか最高にドキドキしてきたわ!」
賢治は、十円硬貨を渡した。幸代は受け取り、なぜかその重みを感じたのだった。

「当時、伊能良蔵には孫がいました。当時小学一年生でした。しかしこの子は小学校へはほとんど行かず、四六時中作業現場にいました。そこで高度な機械の仕組み
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