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幻の旋律
第八話 時間との共有
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彼女は自信を取り戻したが、合唱はなかなかとまらない。
上達が見られないいまのクラスは、ストレスとなるのだ。真剣にやってるからこそのストレスは大きい・・忍耐力がまだ未熟であるためである。

「お前、いまずれただろー」
「何だよ・・・・」
喧嘩が始まってしまった。
「もう、やめようぜ・・・」
「そうだな・・大体俺達には無理だったんだよ・・」
「馬鹿野郎!何情けな事言ってるんだよ!」
賢治は怒鳴ったが収拾がつかない。
そのときだった。

「みんなやめて!」
ピアノ伴奏者の彼女が、大声をあげた・・
普段、おとなしい生徒が言うのだから、さすがにみんな静まりかけた。

「みんな、何やってるのよ!いつもそうよ、今まで入学して、一度だって、真剣に何かにに向かったことあるの!いつも、周りのペースに巻き込まれて。真剣にやってる人の気持ちふみにじって、先生方から怒られる。深谷先生だって、私達の知らない所で上司の先生達から嫌なこと言われてるのよ!先生の気持ちも考えてよ!」
賢治は苦笑いをしていた。
「でも、今がそのチャンスなのよ・・真剣にやるの!恥ずかしい事ではないでしょ・・今しかないの、学校中に見せつけるのよ!この崩壊したクラスが一致団結する瞬間を!」
皆の顔が輝いてた。さすがに問題児も真剣に聞いていたのだ。
しまらく、皆は黙っていたが。
「よし、なんか、やる気がでてきたぜ・・ハハハよし練習を始めようぜ!」

賢治は言った。
「大体、練習のため、教員の俺がここにいることが間違ってたよ・・
自分たちで頑張ってくれ・・俺は忙しいもので・・
もう俺達の出る幕のないな!なあ幸代、職員室に戻るぞ・・」
「そのようね・・私達は必要ないわね・・大体、その時間との共有とは一体どの音楽家の言葉なの?」
「あれは、俺の名言なのだ・・ハハハハ俺の感覚は普通じゃないからな・・・そこらの音楽の教員には負けないゼ!ハハハ」
「それ私の事言ってるの・・素人のくせに・・指何かメチャクチャじゃないの・・基礎を甘く見ないで!」
2人は、教室を出て行った。

「この人は、とんでもない情緒性、いやこれは美的感受性を持っている。私にはない、いや意識すらしたことがないのよ・・・」
幸代は、帰って猛練習した。でも、うまくいかなかった。
「私には、情緒を表現できないわ・・」
このとき、幸代は、体育館での出来事を思い出した。

「あの、旋律は彼の悲愴の叫びなの・・彼の悲愴は私の悲愴でもあるの・・・」
幸代は、何気なく悲愴を引いた・・
「この感覚だわ・・この悲しみが何だか心地良いわ・・」
このとき幸代の中で、ある新たな感覚が芽生えたのだった。

職員室は以前のように和やかになり始めていた。
昼食時間、二人の女子生徒が職員室に入って来た。ある先生
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