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幻の旋律
第八話 時間との共有
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ほどみっともないのだ・・・」
「よし、最優秀に輝けば、焼き肉に連れていくぜ・・」
「まじかよ!ハハハハ」
生徒達は本気になった。
「馬鹿野郎・・優勝できるわけないのだよ。練習の過程こそが、重要なのだハハハハ」
「では、君らで課題曲を決めてくれ・・・」

音楽の授業中である。
「待鳥先生!課題曲が決まりました。」
生徒達の嬉しそうな姿に感動した。
「さあ、今から練習よ!」
幸代は、気合が入った。
「そうよ、この合唱コンクールは、あなた達のために私が企画しただから・・」

それから練習が始まった。やる気はあっても、体が、いや互いの相互作用がうまくいかない。指揮者、ピアノ伴奏者も嘆いていた。何かに没頭した経験のない彼らにとっては、地獄であっただろう。個人ではうまく歌えても集団化するとまとまらない。
やがて、ピアノ伴奏者も狂った合唱に惑わされ、旋律が狂い始めた。
「さあ、もう一度やるか・・」
賢治が指揮を取った。
「なんだ、なんだ!ピアノは何やってるんだ!」
「すみません、私だめです・・・」
「そうか・・・」
「今日は、終わり、解散」
皆は音楽室から出て行った。幸代も心配そうに見守った。

泣いているピアノ伴奏者の女子生徒に賢治に言った。
「大丈夫か・・」
「私、もうだめです・・一生懸命頑張っているのですが・・」
「君は、音楽が好きか・・・」
「は?好きです!幼いころからずっと弾いています・・私は、音大希望です!」
幸代は、2人の会話を聴いていた。

「それは、素晴らしい・・伴奏は、ピアノソロとは違うからな・・」
「は?」

「ソロは、自分のテンポで自由に弾ける。気分の向くままにだ・・しかし伴奏は違う、皆に合わせないといけない、いや、皆に合わせやすい伴奏をしないといけない、すなわち君は合唱の司令塔なんだ!合唱コンクールの場合、指揮者は所詮飾りだ、カッコよく棒を振らせるだけでいい。でも君の役割は重要なんだ!音大に行きたいのなら、早い段階でそれを身につけないといけない。これは、いい機会なんだ・・」
「・・・・」
彼女は、真剣に聞いていた。
「では、どうすれば、皆とテンポが合うのか?世間の音楽家どもは皆口をそろえてこう言うだろう・・」
「皆と共有することだ。・・そんなの当たり前だ・・でもどうするのか?」
「はい・・でも一体、どうすれば・・」
彼女は真剣な顔になった。

「時間との共有だ・・」

「は!」
彼女は驚いた・・
「いま流れている時間というものは、誰にも止められない、すなわち時間とは不変なる存在なのだ。俺たちは、今、時間を共有してる。これはまぎれもない事実だ。どんなに相性が悪い奴でも、お互い離れていても。時間には逆らえない。皆で共有してる。したがって、時間との共有を意識すれ
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