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幻の旋律
第八話 時間との共有
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職員、朝礼が始まった。
「先生方、今日の一日明るく頑張りましょう・・」
何か、ありますか・・」
教頭が元気よく言った。
「はい・・・」
「では、深谷先生・・」
賢治は堂々と立った・・

「あの・・」
職員は注目した。

「私の退職のうわさは聴いていると思います・・今日はその理由についてです・・
率直に申しますと・・私は、教員でありながら、ヤクザの組に出入りしていました!
そして、もちろん噂では聞いてると思いますが・・私の父もヤクザです!しかし私が幼い頃、同じ組員に射殺されました・・・
そんな父でありますが、こんな私を育ててくれた、だからそんな父を誇りに思っています・・・」

全職員は驚いた・・

「私は、この学校で、いやそれどころか・・もう教壇には立てません・・・
私の教員寿命は残り四カ月です・・だからこそ私は、この残された時間を使い、クラスと向き合って、彼らにして上げれる事を見つけるつもりです・・・」

この事実を知った教員達は賢治を軽蔑のまなざしでは見なかった。いつもと同じく接せてくれた。今この職員室はそんな雰囲気になりつつあったのだ。もちろん生徒にもこの情報を流す者もいなかった。

やがて、クラスは職業実習から帰って来た。
一カ月ぶりのHR、賢治は久しぶりに話しをした。

「実習お疲れ様・・しばらく学校から離れ、苦しい実習であっただろう・・
日頃、当たり前にいたはずの、友と離れ、その大切さを実感したことと思う。
また、普段から指導して頂いた先生方に対してもそう思ってもらえれば俺は嬉しく思う。俺の事などはどうでもいい・・・俺は君らに数多くの事を要求しようとは思っていないただ、皆で呼吸ができる・・そんなクラスであって欲しいのだ・・」
 
生徒は真剣なまなざしで聞いていた。
「先生もな・・おそらく、君ら以上に、君らと距離を置くことで考えたよ・・・」
賢治は、しばらく黙っていた。
「では、今日も一日、どうか大切にな・・」
賢治は複雑な気持ちのままHRを終えた。
この瞬間から、生徒は変わり始めようとしていた。
生徒と正面から向き合えば伝わるものである。
後ろで、聴いていた幸代は、決心した。
「私はここで、あなたの教員最後の瞬間まで見届けるわ・・」

「深谷先生、今日のHR良かったわ・・生徒達もきっと何かを感じたはずよ・・」
「そうか、あいつら・・」
「今の奴らは、それぞれが別の方向を向いている。こいつらには目標がないからな・・」
「そうよね、2人で考えましょう・・・」
「そうだな・・」
賢治は、心強かった。

木村警部は第七工事現場で海を見ていた。
「親父・・・佐々木に殺されたのか・・・」
少し離れた場所に男が立っているのに気がついた。
「あ・・誰だ・・」
やが
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