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幻の旋律
第六話 美的感受性を求めて
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である。それが置ける借家である一軒家は音楽に最適な環境の理由であったかもしれない。また海にも近く情緒が育める環境でもあったのだ。賢治は耳がいいわけでないが、メロデーを頭の中で曲面として認識していたという。
そんな独自の音楽感をもとに、そんな空間を作っていた。やがて、音楽を理論的に理解するだけでなく。メロデーの強弱どころか、やがて形成されるその情緒豊かな感情を、音に表現することができるようになっていった。まるで、歌うかのような演奏、賢治は演奏しながら、いろんな事を想像していた。やがて、当時抱えていた、学校に対すく恨みがちっぽけな存在だと気がつくのである。音楽とはそんなことまで可能にする素晴らしい分野である。

ある日賢治は砂浜に平本先生を呼び出し言った。
「平本先生、すみません・・私は、クラシックに興味を持ってしまい、オーケストラに所属してしまいました・・・だから先生とバンドを組むことができません・・」
「え!・・オーケストラ?」
「そうですか・・・
私等二人は音楽性の不一致なんですね・・非常に残念です・・
でも先生のピアノいつか聴かせて下さい・・」

賢治この日、珍しく休日登校した。職員室には誰もいない。
「さあ、コピーしまくるかね。ハハハハ。使いたい放題だぜ!」
賢治は、好き放題に数学の論文や楽譜をコピーしまくった。
「お・・美しいメロデーが聞こえるな。」

やがて、音楽室での演奏を終え幸代は職員室に還って来た。
「あら、深谷先生いらしてたの、珍しいわね。休日に出勤するなんて・・・
やっとクラスの為に仕事をする気になったのかしらハハハハ」
「まあ、そういう事だね・・ハハハ」
幸代は、明らかに嘘だと理解していた。

「待鳥先生、先生はピアノうまいよね・・」
「当たり前でしょ!私は音楽教員よ・・私の事、馬鹿してるでしょ?」
幸代は怒った。
「してないよ・・どうせなら一流ピアニストでも目指さないとだめだよ!」
「何言っているのよ!私は一流のなりそこないなの!演奏家として、食べていくことは、極めて難しいわ、でも私は、かなりいいところまで上り詰めたがね・・」
「ええ!どこまで・・」
「グラミーコンチェルで最終選考まで残ったわ・・」
それは、一流への最終の難関コンチェルである。
「すげ・・確かに、先生のピアノは、力強く、迫力がありすぎる・・」
「そんなに、誉めないでよ・・ハハハハハ」
幸代の機嫌は良くなった。

「先生こそ、噂では、数学者のなりそこないなんでしょ・・」
「そうだね・・俺はそこまで知能高い訳でもないからな・・でも知能と独創力は別なんだ!俺なりの独創をもって研究をやって来たがね。だけど学会の発表では、クレイジーと言われ追放されたんだ・・」
「先生・・何だか凄いわね・・面白い・・」
幸代
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