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幻の旋律
第六話 美的感受性を求めて
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める機会も勇気もなかなった。かつて、そんな機会すらなかったのだ。

「音楽か・・・・」

さっそく、彼の師事を受け簡単なコードを弾き始め、夢中になった。二人で退屈な学校を早退し砂浜で練習する事もあった。やがて二人に友情が芽生えたのだった。彼は学校ではさえない教員だが、音楽の話にかると目を輝かせ、賢治の没頭ぶりを見て大変期待していた。平本は賢治をブルース音楽に引き込む計画だった。
しかし、賢治の音楽性はやがて、予想もしない方向に進むのである。
 理論家である賢治はギターを弾きながら、コードとは何か、音楽理論に興味を持った。彼の性格上、もう誰にも止められない。楽器を演奏経験のない彼が音楽理論なんて理解できるはずがない。でも彼はそれに挑んだ。

「ギターはドレミが、至る所に散らばっている。なんか把握しずらいな!でもピアノは一直線上に並んでる。こちらの方が理解しやすいはずだ!やはり楽器の基礎はピアノだ!」

しかし、ピアノなんて何処にもない。購入を考えた。賢治が住んでる場所は、砂浜まで近い場所の古い木造の一軒家を借りている。
「防音装置・・そんなのいらないぜ・・俺にふさわしい極上のピアノを買うぜ!」
賢治は、現場監督の給料約一千万をすべてピアノにつぎ込んだ。そのピアノとは、ステージ演奏用の高級ピアノである。素人が買う品物でなかった。
そして賢治は鍵盤に向かったのであった。毎日毎日、夜中まで弾いていた。
今まで出来事を忘れるくらい没頭した。思うように手が動かないのにいら立ちを感じ鍵盤をたたいた事も数多くあった。近所の住人達の苦情も絶えなかった。
ある日、こんな苦情があった。隣のおばさんである。

「あんたね・・うるさいんだよね。毎晩毎晩夜中まで、非常識だよ!全く・・」
「すみません・・まだ私はピアノを始めたばかりだから、雑音に過ぎませんね・・」
「そうだよあんた!分かってるじゃないの・・」
「もう少し辛抱して下さい・・そのうち美しいメロデーを弾きますからハハハハ、そうすれは、苦情にはならないですよねハハハハ」

おばさんは、呆れて行った。
「あの人、どこの馬鹿息子なの!親の顔が見たいわ・・」
しかし、数日後のことである。

「ん・・・・」
庭の草取りをしていたおばさんは、耳を澄ました。
「あんたって人は・・なんで・・嘘でしょ?・・」
賢治は、両手である程度のメロデーを弾いていた。
ピアノを始めた初心者が弾くメロデーではなかったのだ。
これは常識ではありえないことである。
「あんた何者よ・・まだ2週間しかたっていないのよ・・」
このおばちゃんは四六時中賢治の演奏を嫌でも聞いていた事になるそれは隣だからである。だからこそ、賢治の演奏の上達を理解していた。

次の日、様々な曲を楽譜分析しようと、コンビニに
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