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幻の旋律
第四話 伝説の測量師
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ない辺鄙な環境である。さらに工事中でもあり、世間からは作業トラックとしか見なされないため、だからこそ銀竜組にとってこの大運搬計画は安全なルートだったのだ。
 ある日、良蔵は、運搬の責任者である佐々木を第七工事現場に呼び出した。
「通行は、今回で終わりだ!来週からは許可できない。作業の妨げのなるんだよ・・・」
「おい!ただ、週に一回、トラックを通行させてもらうだけで、こっちは多額の通行料を払っているんだぜ!おいしい話だろハハハハ、俺達は契約したのだ!・・」
確かに、その通行料は、有明沿岸道路の重要な建設資金だった。そのときだった。長男がやって来た。

「おじいちゃん!・・」
「おお、今は忙しいのだ!向こうで遊んでなさい・・」
「坊や・・可愛いね・・」
「あ!トラックだ!大きいのが何台も来る!ねえ・・お兄さん・・何を運んでるの?」
「・・・・・・」

二人は唖然とした。そのとき佐々木は良蔵の顔色を伺い何かを確信したのだ。

「あのトラックの中には、大量の砂が積んでるのだよハハハハ」
「おい!先の件分かったな・・・・この通行で最後だ!」

佐々木はトラックに乗り込み去った。
当時、現場監督であった平賀作業員、現金竜組組長は最後の橋げたの作業に取りかかっていた。その現場とは、あの第七工事現場なのだ。当時最新の技術で、約半分までかかっていた。しかし、ある日、橋げた落下事故が起こってしまった。その落下時、ちょうど真下には、中島漁港から夜漁に出発した数隻の漁船が通過していたのだ。もちろん船は沈没した。この事故は「中島鉄橋落下事故」とニュースでも広く報道された。漁船に乗っていた複数人の死傷者が出た。平賀監督と良蔵は責任を問われ、それまでいた中島地区からの信用が崩壊した。その後、平賀は自信喪失になり作業現場から何年もの間、離れ工事は中断。そのとき「呪われた橋げた」の名がついた。やがて多額の賠償金を要求され、有明工業株式会社の財政が悪化した。だからこそ良蔵にとっても銀竜組からの通行料は必要であったのだ。県警の現場検証の結果は事故と断定した。しかし当時、県警の若手の二人組の刑事は極秘にその事故を疑い捜索していた。また同時に、敏竜組の麻薬密輸疑惑もだ。やがて、その二人の刑事は銀竜組から狙われることとなる。
この事故の遺族の息子である滝沢馬琴は、伊能良蔵、平賀監督の二人には猛烈な恨みを持っていた。当時、小学6年生の滝沢は二人の前に現れ言った。
「この人殺し・・俺はお前らを許さない・・・いつかお前らを殺してやるぜ!」
この恨みを理解していた佐々木は滝沢に接近し。闇の世界に引き込んだのだった。やがて滝沢は、佐々木の最も信頼のおける凶暴なヤクザと成長したのである。
ある日、秀長は、父である良蔵を心配し、工事現場に現れた。
親子口を開いたのは、別
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